焼津水産化学工業(YSK)、再び非上場化へ いなば食品系がTOB

 焼津水産化学工業(YSK)は5日の取締役会で、静岡市清水区の食品メーカーいなば食品が設立した投資会社Jump Life(ジャンプライフ)による株式公開買い付け(TOB)の手法で非上場化する方針を決めた。買い付け期間は6日から3月21日の予定。TOBが成立した場合、東証スタンダードの上場を廃止し、いなば食品の傘下に入る。TOB成立要件は全株式の3分の2以上の買い付け。
 YSKは昨年8月にYJホールディングス(東京)によるTOBを実施したが、旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスなどがYSK株を大量に購入。株価が買い付け価格の1137円を上回る事態が生じ、TOBは不成立に終わった。
 今回の買い付け価格は1350円に設定された。YSKによると、シティインデックスイレブンスなどは全ての保有株式(所有割合10・36%)を市場で売却する、もしくはTOBに応じる意向という。筆頭株主のエスエスケイフーズなど鈴与グループも所有割合11・71%についてTOBへの応募契約を締結する。
 YSKは原材料価格の高騰などで事業環境が悪化。「大胆な経営改革が必要」として、より速やかな意思決定をしやすい株式非公開化の道を模索してきた。いなば食品とは従前から取引関係にあり、「企業価値を高く評価され、われわれも自社の成長が見込めると判断した」(YSK幹部)。
 YSKが5日発表した23年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比4・8%増の102億1200万円、経常利益が46・5%減の1億8200万円、純利益が49・2%減の1億200万円だった。
 (経済部・河村英之)

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