世界に示した町工場の技術 打ち上げ成功「よしっ!」 静岡・清水町の「エステック」、H3ロケットエンジン部品製造

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が17日、打ち上げに成功した国産新型H3ロケット2号機のメインエンジンには、清水町の航空宇宙部品メーカー「エステック」の製品が使われた。昨年3月の1号機打ち上げ失敗から約11カ月。新たに部品を製造した同社技術者は「感動的。無事に打ち上がってほっとした」と笑顔を見せた。従業員約40人の「町工場」が高い技術力を世界に示した。

打ち上げが成功して喜ぶ鈴木社長(右から2人目)ら=17日午前9時40分ごろ、清水町
打ち上げが成功して喜ぶ鈴木社長(右から2人目)ら=17日午前9時40分ごろ、清水町
打ち上げを終えて記念写真を撮る社員ら=17日午前9時40分ごろ、清水町
打ち上げを終えて記念写真を撮る社員ら=17日午前9時40分ごろ、清水町
打ち上げが成功して喜ぶ鈴木社長(右から2人目)ら=17日午前9時40分ごろ、清水町
打ち上げを終えて記念写真を撮る社員ら=17日午前9時40分ごろ、清水町

 同社はメインとなる第1エンジンの噴射器やバルブ、ノズルの部品製造を手がけた。前回の1号機打ち上げ時は第1エンジン切り離しまでは成功したが、第2エンジンの不調で失敗となり、製造部の菊地雅人さん(34)は「宇宙までは行ったのに」と残念がった。再起に燃えた技術者らは改めて2号機用の部品を製造。発注は前回よりもさらに高度な技術を要したが、無事に基準をクリアした。
 17日は社員13人が社内でライブ映像を見守った。カウントダウンとともに打ち上がったロケットが第1、第2エンジンを無事に切り離すと、「よしっ!」という声が上がり、手を叩いて喜びを分かち合った。
 製造部の本田正樹さん(40)は「JAXAが諦めずに研究をした結果。その一端を自分たちが担えたことがうれしい」と声を弾ませた。低価格のH3ロケットの打ち上げ成功は、日本が宇宙ビジネスに本格参入することを示す。本田さんは「技術力と品質は下げず、量産に対応できるようにしたい」と見据えた。
 鈴木誠一社長(62)はかつて自動車部品から航空機やロケット部品に事業をシフト。ロケット製造を主導する三菱重工業に自社技術を売り込んだが、当初は千分の1ミリ単位の精度が求められる部品の製造に苦労した。道具や工程を変えるなど試行錯誤し、6~7年かけて寸法精度を高めたという。鈴木社長は「宇宙には夢がある。いろんなロケットに携われるよう今後も挑戦を続けたい」と言葉に力を込めた。

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