福一漁業(焼津市) 近藤太一郎社長 水産業の課題に挑戦を【キーパーソン・最前線】

 江戸時代に創業し、古くから漁業を営む水産会社は今年会社設立60年の節目を迎えた。社長就任2年目にあたって、自身の経営方針や地元水産業の展望について聞いた。

近藤太一郎社長
近藤太一郎社長

 ―経営方針は。
 「会社としては経営理念にあるように『いつでも今がはじまり』という気持ちを持っている。成長していくためには新しい挑戦や刷新を継続していかねばならない。現状維持は退化と考え、リスクを取りながら攻めの姿勢で挑戦し続けていく。昨年完成した4隻目の海外巻き網船『第81福一丸』は攻めの姿勢で結実した一大プロジェクト。漁師を目指す若者に選ばれる船にしようと、船内の生活環境を整えるなど工夫を施した」
 ―水産業の課題である担い手不足の打開策は。
 「ノルウェーのようにスマートでかっこいい憧れの、稼げて選ばれる職業にしていきたい。魚の需要を拡大するために、マグロやカツオを使った商品開発を進めていく。情報の発信も大切。遠洋漁業の仕事に抱くイメージを改善するため、3年前から漁師の仕事を撮影し、動画で紹介するユーチューブチャンネルを開設している」
 ―焼津の水産業の現状と課題は。
 「焼津港は水揚げ金額は22年で7年連続日本一だが、これを維持するために解決しなければならない課題として水揚げの担い手不足を挙げたい。人手が年々減少し、水揚げスピードは遅くなっている。水揚げを担う荷役業者任せにしないで、行政の力も借りながら、オール焼津で解決していくべきだ」
 (焼津支局・福田雄一)

 こんどう・たいちろう 2004年入社。水産総合研究センター出向後、取締役、常務。22年9月に社長就任。焼津市出身。44歳。

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