御殿場市、富士山溶岩流で避難計画策定 流下パターン三つに大別 地形や特性考慮

 御殿場市は20日、市防災会議を開き、富士山火山防災対策協議会による2023年3月の富士山火山避難基本計画に、同市の地形、道路、地域特性などを反映させた独自の「市富士山火山避難計画」を策定した。溶岩流の流下パターンを三つに大別することで、市内を中心に近隣地域内での避難を実施する点が特徴。

御殿場市の溶岩流の流下想定パターン
御殿場市の溶岩流の流下想定パターン

 同市は県道23号御殿場富士公園線沿いに黄瀬川と鮎沢川の分水嶺(れい)がある。最新の知見・技術に基づいたシミュレーションにより、溶岩は噴火場所に応じて分水嶺の①北側②南側③南北両方―を流れる3パターンに分けられる。さらに同市の中心市街地は溶岩流の流下範囲外となっていて、避難地の候補となる「デルタ地域」が存在していることを利用し、計画を練った。
 溶岩が北側を流れるパターンの避難対象区は高根、玉穂、御殿場地区の一部、南側を流れるパターンでは印野、原里、富士岡、玉穂地区の一部と想定される。範囲が大きく異なり、パターンごとに溶岩流が3時間以内に到達する可能性がある第3次避難対象エリアから、最終的(最大で57日間)に到達する可能性がある第6次エリアを設定した。南北両方を流れるパターンで最も被害が大きくなった場合、避難者数は最大計4万人超と推計される。
 一般市民は流域から直交方向に逃げるイメージで設定された一時集結地の小中学校などに原則徒歩で避難する。さらなる避難が必要な場合は市や県が用意したバスなどで流域範囲外の近隣地域に逃げる。避難行動要支援者は自家用車やバスで、市と協定を結んでいる御殿場旅館同業組合の施設や福祉避難所に向かう。
 勝又正美市長は「確実に命を守ることはもとより、住み慣れた市域内での避難を可能とし、生活維持についても配慮している点は大きい」と意義を強調した。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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