静岡県、企業立地を強化 「大胆な誘致」へ推進会議 用地創出、市町と連携

 円安などを背景に製造業などの国内回帰が加速する状況を踏まえ、静岡県は魅力ある企業立地環境の強化に乗り出す。関係部局で構成する推進会議が3月下旬に発足した。市町と連携して事業用地の創出や補助制度の見直しを進め、産業成長戦略に掲げた「大胆な企業誘致」の実現を目指す。

大胆な企業誘致の実現に向け発足した推進会議=3月下旬、県庁
大胆な企業誘致の実現に向け発足した推進会議=3月下旬、県庁

 本県の企業立地動向によると、2022年の製造業などの立地件数は52件と全国4位で、23年連続で全国5位以内の高水準を維持した。一方、産業用の分譲用地は減少傾向にあり、23年度末は79・9ヘクタールと16年比で約3割減った。
 県内は遊休地があっても農地法などの規制が足かせになったり、売れ残りを懸念して開発をためらったりするケースがある。推進会議はこうした用地の掘り起こしと市町への支援に着手する。
 5月に複数の開発候補地を紹介するイベントを静岡市内で開催する。開発事業者や金融機関が場所、地権者状況、規制情報などを共有し、事業化を模索する。
 国内回帰の動きは、輸入コストの増加や新興国の賃金上昇などを受けて強まっている。政府の資料では、事業拠点を国内に新設、増設、移転する計画を持つ製造業と物流業は20年度のそれぞれ13・7%、21・7%から22年度に22・1%、30・5%へと伸長。別の民間調査では原材料や商品の調達先を海外から国内に移す製造業が1割を超えた。
 推進会議を取りまとめる山崎浩希企業立地推進課長は初会合で、企業誘致は高度人材確保なども欠かせないとした上で「まずはまとまった土地だ。交通の要衝である本県の地理的なポテンシャルに頼った誘致から脱却しなければならない」とし、戦略的な施策検討に協力を呼びかけた。
 (経済部・河村英之)

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