大鉄が5月ツアー 台風被災区間、歩いて知って 運行再開へ現状と課題説明

 大井川鉄道(本社・島田市)は5月11日と18日、2022年9月の台風15号で被災した大井川本線の運休区間を歩いて見学する日帰りツアーを開催する。静岡県を中心にした大鉄の在り方検討会で、早期の運行再開を目指す方針で一致したことを受け、不通区間の現状や全線再開の課題を広く知ってもらおうと企画した。

被災区間で着用してもらう特注ヘルメットを手に、ツアーへの思いを語る竹上禄宏計画課長=19日、島田市の大井川鉄道新金谷駅
被災区間で着用してもらう特注ヘルメットを手に、ツアーへの思いを語る竹上禄宏計画課長=19日、島田市の大井川鉄道新金谷駅
下泉-田野口間の被災場所(大井川鉄道提供)
下泉-田野口間の被災場所(大井川鉄道提供)
被災区間で着用してもらう特注ヘルメットを手に、ツアーへの思いを語る竹上禄宏計画課長=19日、島田市の大井川鉄道新金谷駅
下泉-田野口間の被災場所(大井川鉄道提供)

 ツアーでは鉄道部の社員が案内しながら、土砂流入など被害が大きかった下泉―田野口間3・6キロの線路上を歩く。会社には「土砂を撤去すれば運行再開できるのでは」といった声も届くが、トンネルの修繕や鉄道敷地外にある土砂発生場所の工事など再開には根本的な対策が求められている状況を解説する。
 不通により稼働していない車両や施設に触れてもらおうと、千頭駅に取り残された電車の見学や使用機会が激減した同駅の転車台を回す体験もツアーに盛り込んだ。被災区間で着用するツアー名入りの特注ヘルメットも用意した。全線再開に向け、機運を高める記念品として持ち帰ってもらう。大鉄の代名詞とも言える蒸気機関車(SL)にも乗車する。
 企画した鉄道部の竹上禄宏計画課長(39)は「被災状況や今後の方向性を一般の方々にも知ってもらい、関心や身近な議論を深めるきっかけにしたい」と意気込む。
 大鉄は台風15号により全線で土砂流入などの被害を受け、現在も川根温泉笹間渡―千頭間(19・5キロ)が運休している。運行再開に必要な費用約22億円のうち、大鉄が負担する8・4億円以上の財源をどう確保するかが今後の課題になっている。
 (島田支局・寺田将人)

 

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