記者コラム「清流」 自然資料保管の意味

 川根本町の資料館やまびこに「ヒダサンショウウオ」として展示されていた標本が先日、より希少な「アカイシサンショウウオ」だったことが判明した。外見上では判別が難しい両種だが、同館を訪れた専門家が微妙な違和感を抱いたことがきっかけで、半世紀近い“勘違い”が解消された。
 違いを見抜いた専門家の鑑識眼はもちろん、長年適切な保管を続けてきた職員の努力にも称賛を送りたい。定期的に保存液を交換するなど、同館に保管されている動植物の標本約1万7000点の劣化を防いできた。
 どんな資料であれ、残していくことそのものに意味があることを示す好例だ。希少種だから保管するのではなく、未来の新種発見や技術革新に備え、できる限り多くの自然資料を残す必要性を改めて感じた。
(島田支局・白鳥壱暉)

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