知事選「与野党対決」打ち消し躍起 静岡県内政党関係者「国政とは別」 自民、逆風懸念【静岡県知事選】

 新人による三つどもえの争いが固まった静岡県知事選(5月9日告示、26日投開票)で、「与野党対決」の構図を打ち消す発言が相次いでいる。衆院選の前哨戦と見る向きもあるが、無所属の2人は「オール静岡」「県民党」を掲げ、県内の政党関係者らも「国政と地方選挙は別」と主張する。不祥事など国政の混乱を県政に持ち込みたくないとの思惑が透けるが、衆院選の足掛かりにしようと対決姿勢を鮮明にする動きもある。
 知事選には元副知事の大村慎一氏(60)、前浜松市長の鈴木康友氏(66)、共産党県委員長の森大介氏(55)が出馬表明している。自民党県連は大村氏の推薦を党本部に上申し、立憲民主、国民民主両党は鈴木氏の推薦を決めた。
 「国政の状況を県政に持ち込む必要はない」。大村氏は与野党対決の構図となっていることを記者団に問われ、こう指摘した。自民県連の城内実会長(衆院静岡7区)も「われわれは大村氏を応援するグループの一つ」と言い切る。
 政治経験がない大村氏にとって自民の組織力は頼みの綱だ。ただ、派閥裏金事件や国会議員の不祥事による逆風を懸念する声は強い。2009年の知事選では自民、公明両党が推薦した候補が当時新人の川勝平太知事に敗北。直後に政権交代につながった苦い記憶があり、県連幹部は与野党対決の打ち消しに躍起だ。
 一方の鈴木氏も「首長は全ての県民に責任を負う。どこかの党に偏るということではない」との姿勢を示す。選挙対策本部には連合静岡や立民、国民両党県連、県議会会派ふじのくに県民クラブの関係者がずらりと並ぶが、あくまで県民党をアピールし、街頭でも政党色は出さない。連合静岡の角山雅典会長は「国政の対立構図を県政に持ち込むと、再び政局を招く」と繰り返す。
 ただ、野党には知事選に勝利し、来るべき衆院選に向けて弾みを付けたいという思惑もある。国民の榛葉賀津也幹事長(参院静岡選挙区)は「与野党ガチンコの知事選になった」と対決姿勢を打ち出す。
 共産もリニア中央新幹線整備や原発再稼働に反対する層の受け皿となることを目指す。森氏は出馬会見で「知事選の結果は衆院選にも大きく影響する。共産党の政策と理念を訴えたい」と強調した。

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