思い出のリンクに別れ 県内唯一、浜松の屋内スケート場6日まで 58年の歴史に幕

 「たくさんの思い出をありがとう」-。6日に閉館して58年の歴史に幕を下ろす浜松スポーツセンター(浜松市中央区)のスケートリンクに大勢の地元住民らが足を運んでいる。県内唯一の屋内スケートリンクで、温暖な静岡にあって気軽にウインタースポーツを楽しめる施設として長年親しまれてきた。地元のスポーツチームの練習拠点として、オリンピアンも輩出した。大型連休を迎えて、思い出の施設との最後の別れを惜しんでいる。

スケートを楽しむ人々でにぎわうリンク=2日午後、浜松市中央区の浜松スポーツセンター
スケートを楽しむ人々でにぎわうリンク=2日午後、浜松市中央区の浜松スポーツセンター

 連休後半前の2日、スケートを楽しむ家族連れやカップルらの姿が目立った。親に手を引かれながら恐る恐る氷上に足を踏み入れる子ども、悠々と滑走する常連客。リンク上には笑顔が広がった。
 施設の職員によると、閉館を公表して以降、客足は例年の2倍超にまで伸びているという。娘2人とともに訪れた同区の会社員原川仁智さん(41)は「(娘に)『最後だから行こう』と言われた。何度転んでも楽しそうにしていた子どもたちの姿が思い出。ささやかな家族の楽しみになっていたのでやっぱりさみしい」とつぶやいた。
 スケートリンクは1966年の開業。その後、プールが併設され、95年のリニューアルで現在の総合型スポーツ施設となった。冬季五輪イヤーになると来場者が増加し、多いときで1日2千人が訪れた。現在も千人ほどの来場があったが、施設の老朽化や電気代の高騰など、中長期的な経営判断から閉鎖を決断したという。
 一般開放を終了した後、5月末までスポーツチームへの貸し出しを行い、建物の解体は7月を予定している。常連客などから「残念だけどしょうがないね」「たくさんの思い出をありがとう」といった声が多く寄せられているという。
 スポーツセンターの鈴木直樹社長は「これまで地域の皆さんに支えられてきたことを改めて実感している。最後の日まで1人でも多くの方に楽しんでもらえたら」と感謝した。
 (浜松総局・仲瀬駿介)

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