清水町、若者が政策に「意見」 よりよい町政の契機に【記者コラム 湧水】

 「子育てのしやすい町にしたい」と清水町出身の若者が昨年、「清水町の教育費を考える会」を結成した。メンバーの3人は、経済的な理由から子どもたちが学習を諦めることがないようにと、教育費の無償化や私費負担軽減を訴えている。昨年4月には町長選と町議選の候補者に教育費に関するアンケートを行うなどした。政治や行政に関心が薄い若者が増えている中、若者が町政に参画する契機となってほしい。
 考える会は、町が物価高騰対策生活支援としてマイナンバーカード所有者と新規申請者にクオカードを配布した事業に懐疑的な見方を示す。町は2023年度一般会計補正予算として、昨年の町議会11月定例会で事業費5600万円を計上。国が現行の保険証を廃止してマイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化する方針を示したことを受けて、町民のカード保有率向上を目指した。
 同会の原太郎さん(27)らは「物価高に苦しむ町民のために、経済的支援を行うことは歓迎」とする一方、「マイナンバーカードの所有は経済的な苦慮とは直接関係がなく、公平ではないのでは」と指摘。「小中学校給食費の軽減などに予算を配分できたはず」と強調する。
 関義弘町長は、物価高騰による給食費の値上げ分を町が負担するといった措置が図られていることを挙げた。その上で「町のことを若い世代が考えてくれるのはありがたい。しかし、町として実施できる事業には限りがあるため、町内全体の状況を見ながら取り組みを決めていきたい」と話した。
 どの地域でも、行政が住民全員をカバーする支援や事業を図ることは困難だ。地域ごとにさまざまな課題があり、どのような事業を優先させるべきかは意見が異なる。だが、多くの住民の声に耳を傾けて、少しずつでも政策に反映していくことで、よりよいまちづくりにつなげることはできる。
 同町も少子高齢化と人口減が進む。将来を担う若い世代の声を参考にする必要はあると思う。まずは双方が意見を活発に交換する環境づくりが欠かせない。
 (東部総局・日比野都麦)

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