知っとこ 旬な話題を深堀り、分かりやすく。静岡の今がよく見えてきます

新開発エリアも 「富士モータースポーツフォレスト」どんな施設?

 トヨタグループが静岡県小山町に展開するモータースポーツ文化の体験型施設「富士モータースポーツフォレスト」。ウェルカムセンターがオープンし、2026年春ごろには新開発エリアの開業も目指しています。「大人の遊び場」がコンセプトという同施設の狙いや特徴を1ページで紹介します。

新開発エリア ホテルや温浴施設を整備 「車に興味がない人も立ち寄れる施設に」

 トヨタ自動車などが小山町の富士スピードウェイ(FSW)周辺に展開する体験型複合施設「富士モータースポーツフォレスト」の新開発エリアについて、2026年春ごろのオープンを目指していることが7日までの関係者への取材で分かった。ホテルや温浴施設、飲食店などを順次開業する。

富士モータースポーツフォレストの新開発エリア
富士モータースポーツフォレストの新開発エリア
 当初は21年春ごろの開業予定だったが、近くに新設される新東名高速道小山スマートインターチェンジ(SIC、仮称)の供用開始延期を受け、時期を再考していた。27年度とされる小山SICの供用開始を待たずに開業し、26年のFSW開業60周年を盛り上げる狙いがあるとみられる。
 計画地はFSWの西ゲート近く。ホテルと温浴施設、飲食店、物販店、レーシングチームやパーツメーカーなどのガレージを整備する。各施設の規模などは明らかになっていない。関係者は「車に興味がない人も気軽に立ち寄れるような、にぎわいエリアにしたい」と展望を語る。トヨタ不動産が開発を進める。
 計画の発表当初は「モータースポーツビレッジ」と称していたが、既にこの名称は使われていない。
 富士モータースポーツフォレストは、国際サーキットのFSWを中心にモータースポーツやモビリティの魅力を感じられる“大人の遊び場・社交場”を目指す。22年3月にトヨタ自動車の豊田章男会長のプライベートチーム「ルーキーレーシング」のガレージが完成。同10月にはホテルとモータースポーツの歴史をたどるミュージアムがオープンした。
 トヨタは今年4月に開発を一体的に担う新会社を設立した。トヨタ元広報部長の酒井良氏が社長に就き、FSW運営会社の社長を兼ねる。
(東部総局・矢嶋宏行)
〈2023.7.8 あなたの静岡新聞〉
 

ウェルカムセンターオープン 車の今と未来 伝える展示

 トヨタ自動車などが手がける複合施設「富士モータースポーツフォレスト」(小山町)のウェルカムセンターがオープンした。モータースポーツや車の現在と未来に焦点を当てた施設で、フォレストの玄関口と同時に「全ての人に車やモータースポーツに興味を持ってもらう場」(担当者)にする。

オープンした富士モータースポーツフォレストのウェルカムセンター=7月5日、小山町
オープンした富士モータースポーツフォレストのウェルカムセンター=7月5日、小山町
 3階建ての1階展示スペースに三つのステージを設け、テーマに合わせたマシンなどを展示。現在はトヨタの豊田章男会長がドライバー名「モリゾウ」を名乗って初めてレースに参戦した「アルテッツァ#109」や、水素社会への取り組みを紹介するパネルを設置している。
 
photo01
連結するルーキーレーシングのガレージでは、エンジニアやメカニックの作業を見学できる

 2階は隣接するルーキーレーシングのガレージに連結した。メカニックやエンジニアのレース前後のマシン整備やタイヤ交換練習などを見ることができる。入場無料。
photo01
「富士モータースポーツフォレスト」のウェルカムセンターとルーキーレーシングのガレージ

(東部総局・矢嶋宏行)
〈2023.7.8 あなたの静岡新聞〉
 

レース史を彩った名車ずらり ミュージアム、愛好家に人気

 小山町大御神の富士モータースポーツミュージアムが愛好家の関心を集めている。トヨタ自動車系の施設だが、レース史を彩った名車をライバルメーカーのマシンと共に展示。来館者からは「名場面を振り返りワクワクできる」との声が上がり、海外からツアー客も訪れている。世界三大レースの一つ「ル・マン24時間」100周年記念特別展が7月9日まで開かれている。

激戦を繰り広げたトヨタ7(手前)とニッサンR382。メーカーの垣根を越えて名車が並ぶ=小山町大御神の富士モータースポーツミュージアム
激戦を繰り広げたトヨタ7(手前)とニッサンR382。メーカーの垣根を越えて名車が並ぶ=小山町大御神の富士モータースポーツミュージアム
 2022年10月オープン。約40台を年代やテーマごとに展示している。1969年の日本グランプリで激戦を繰り広げたトヨタ7とニッサンR382が並ぶ光景は「往年のファン垂ぜん」(広報担当者)。富士スピードウェイ(小山町)が舞台のレース「富士グランチャンピオンシリーズ」に参戦したヤマハ製エンジン搭載マシンは、県内ファンの関心が高いという。
 同種の博物館は特定のメーカーの車両だけを展示するスタイルが多いが、同ミュージアムには現在国内外10社のマシンが並ぶ。展示車両の周囲360度に立ち入りでき、柵が低いのも特長。ファン歴30年の会社員中村吉孝さん(33)は「いろんなメーカーのマシンがあり、細かいところまで見られる」。既に6回足を運んだ。
 特別展ではトヨタのル・マン挑戦の軌跡を紹介。92年の車両「TS010」や、2018年に悲願の初優勝を果たしたマシン「TS050」のレプリカを展示する。60~70年代のマシンや会場を写した写真パネルも飾った。
 展示車両は不定期で入れ替える。特別展を随時開く。トヨタグループが展開する体験型複合施設「富士モータースポーツフォレスト」の一翼を担う施設で、富士スピードウェイホテル内に位置する。入館料は大人1600円から、小学生は600円から。
(東部総局・矢嶋宏行)
〈2023.7.4 あなたの静岡新聞〉
 

愛車眺めゆったり 富裕層向けの宿 富士スピードウェイホテル

 2022年10月にオープンした富士スピードウェイホテル(小山町)は敷地内に、専用ガレージやドッグテラスを備える平屋のヴィラ5棟を設けた。2人1室で1泊約18万円超からと同ホテルで最も高額だが、他の客室よりも予約が埋まりやすい。キッチンや広いクローゼットもあり、長期滞在もできる。ガレージの愛車をガラス越しに眺めてゆったりと過ごす客がいるという。

ミュージアムを併設した富士スピードウェイホテル
ミュージアムを併設した富士スピードウェイホテル
 ホテルチェーン「ハイアット」で、唯一無二の体験を提供するホテルブランド「アンバウンドコレクション」の国内初のホテル。トヨタグループが展開するモータースポーツ文化を楽しむエリアの主要施設でもあり、担当者は「新しい楽しみ方、新たな世界を発見できる場所にして他のラグジュアリーホテルとの違いを出したい」と展望を語る。
 
photo01
 
富士スピードウェイホテル

(東部総局・矢嶋宏行)
〈2023.5.23 あなたの静岡新聞より〉
地域再生大賞