【スケートボード・ストリート】島田出身の根附海龍選手、五輪予選で初優勝 パリ目指す県勢紹介
10日にドバイで行われたスケートボード・ストリートのパリ五輪予選第6戦で、島田市出身の20歳、根附海龍(かいり)選手が五輪予選初優勝を果たしました。親友で東京五輪に出場した静岡市清水区の青木勇貴斗選手とともに代表候補へ名乗りを上げています。世界トップランキングに日本人男子がひしめく同競技、五輪を目指す静岡県勢を紹介します。
異彩の新星「ヒールフリップ」武器にパリへ急浮上【しずスポ】
独創的なオリジナルトリックで、パリ五輪代表候補に名乗りを上げた。スケートボード・ストリート男子の根附海龍(20)=DC Shoes、島田市=が昨年末の世界選手権で準優勝。五輪ランク6位(日本人3番手)に浮上した。世界的にも異彩を放つ新星が狙うのは、日本人2大会連続の金メダルだ。
結果は17位で予選敗退。青木の実力を知る根附にとって驚きだった。「普段なら緊張しても決めてくる。予選敗退は絶対にない。そんな勇貴斗があれだけのプレッシャーを感じた五輪はどんな舞台なのか」。好奇心に駆られ、同じ舞台を目指すようになった。昨年9月の五輪予選第4戦(スイス)で初めて決勝に残り4位。世界選手権は「やりたい技をやって得点が伸びた」と初の表彰台に立ち自信を深める。
スケートボード以外に夢中になったものはない。「一番格好いいし面白い。スケボーがなければ何をしていたか想像もできない。みんなにもやってほしい」。五輪は魅力をアピールする絶好機だ。
根附にはまだ、五輪予選で決めていない大技がある。「ヒールバックテールビッグスピンアウト」。世界選手権はわずかに失敗したが、成功させるイメージはある。「五輪はスケーター以外の人も見る。人と違う滑りで面白さを伝えたい」。花の都で誰よりもインパクトを残す。
選考の仕組み
ねつけ・かいり 2003年8月19日、島田市出身。小学1年からスケートボードを始め、19年に世界最高峰のアマチュア大会「TampaAM」で優勝した。中学2年からプロとしても活動する。名前の由来は「海のように広く、龍のように強く」。DC Shoes所属。20歳。
〈2024.2.1 あなたの静岡新聞〉
根附V、青木8位 ドバイで五輪予選第6戦
【ドバイ共同】スケートボード・ストリートのパリ五輪予選第6戦最終日は10日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで決勝が行われ、男子は昨年12月の世界選手権で銀メダルの20歳、根附海龍(DC Shoes、島田市出身)が263・74点で五輪予選初優勝を果たした。
女子は15歳の赤間凜音が270・84点で、昨年6月の第3戦以来となる2勝目。吉沢恋(ACT SB STORE)が五輪予選で初表彰台の3位に入り、12歳の松本雪聖が4位、伊藤美優(JOCKS)が5位、藤沢虹々可が6位で続いた。45秒間に技を連発する「ラン」2回の最高点と、5回の一発技「ベストトリック」で得点の高い2回の合計で争った。
五輪予選は計8戦で、第7戦は5月に上海で開催される。
〈2024.3.11 あなたの静岡新聞〉
東京五輪 青木勇貴斗選手、10代で大技堂々
※2021年7月26日 静岡新聞朝刊から
予選敗退、パリへ収穫
10代の若き日本代表が磨き上げた「技」を披露した。スケートボード・男子ストリートの青木勇貴斗(ボードライダーズジャパン、静岡市清水区)は決勝進出を逃したが、初出場ながら堂々たる姿で健闘した。
「楽しく滑ることができた。自分の持ち技は大技なので、そこを最後までやり切れた」と青木は胸を張った。失敗を恐れず、難易度の高い技に何度も挑戦した。
一発の技の出来を競う「ベストトリック」は、1回目で手すりの上でボードを180度回転させてスライドに成功。着地で転倒しそうだったが、右手を地面に着きながらも何とか持ちこたえた。
金メダルの夢は諦めない。今大会は楽しめた半面、世界とのレベルの差を痛感した。「自分の実力が完全に足りなかった。次のパリ五輪で金メダルを目指したい」。貴重な経験を得た17歳は、3年後を見据えてボードを滑らせる。
ライバルで“兄弟” 五輪目指す繁延亜周選手と浦野晴選手
スケートボードで五輪出場を目指す聖隷クリストファー高2年で17歳の浦野晴(はる)=浜松市西区=と藤枝市広幡中3年で15歳の繁延亜周(あしゅう)が、本年度の全日本アマチュア選手権で入賞を果たしてプロ資格を得た。ライバルで兄弟のように親しい2人は「スケボで頂点に立ちたい」と誓いを固め、技を磨き合う。
2人とも就学前に競技を始め、小学生時代からプロを意識してきた。特定の指導者はなく、技は動画を探し、大会で出会った上級者にも教わって習得する。練習に明け暮れる日々を送り、「とにかく地道に繰り返すしかない」と声をそろえる。
小学生時代に知り合い、今は親同士が連絡を取り合って全国各地の大会に送迎を行うなど、個人競技ながら一つのチームとして活動する。繁延が「あこがれの存在で、スキルは向こうが上」と認めれば、浦野も「追いかけてきて負けられない。でも、大会の本番前、そばにいてくれると元気が出て、リラックスできる」と信頼を寄せる。
板を縦横両方1回転させる360度フリップが得意な繁延は、制限時間内に数多くの技をこなして点数を稼ぐタイプ。一方、浦野は「他人がやらない技を使いたい」とマイペースで、メインスタンスと逆向きで飛ぶスイッチフリップが武器。
2021年の東京五輪では10代の若手選手が躍動した。繁延は「みんな格好良かった。どうしたら自分も五輪に出場できるか、何が足りないのか、刺激を受けた」と振り返る。
2人とも4月からプロ戦に出場する。浦野が「勝ちたい」と意欲を高めれば、繁延も「スケボで有名になり、賞金を稼ぎたい」と決意を示した。
先輩の背中を追う
21年の東京五輪スケートボード・男子ストリートには青木勇貴斗(19)=静岡市清水区出身=が出場し、予選で敗退したが、大技を決めて会場を沸かせた。県勢では根附海龍(19)=島田市出身=と沢島裕貴(20)=静岡市駿河区出身=もプロボーダーとして国内外で活躍している。浦野と繁延は3人の先輩の背中を追いかけ、国際舞台への進出を狙う。
〈2023.1.3 あなたの静岡新聞〉