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ずっと残したい昭和の名店!沼津レトロ喫茶「喫茶と軽食 ケルン」

後世に残したい昭和のお店

こんにちは、フリーアナウンサーの小沼みのりです。仕事がきっかけで、プライベートでも昭和レトロが趣味になりまして! インスタグラムでも昭和レトロな写真をあげて反響をいただいています。今回は特別企画として、みのりんの帰ってきた『3丁目の昭和』!をお届けしたいと思います。
※1月6日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

このコロナ禍、これから先もずっと残ってほしかった、静岡県のいわゆる「名店」と言われるお店がどんどん閉店してしまっています。そもそも昭和から続くお店は経営者がご高齢ということも多いので、マスクでの接客が息苦しくて体力的に厳しいとか、そもそも観光客が減ってしまって店の維持が困難で店を畳んでしまったり……。

JR静岡駅でも、構内の谷岡の甘栗、駅前のおにぎりのまるしまが閉店してしまいました。私の地元、清水銀座に戦前創業の喫茶富士というレトロ喫茶があったのですが、こちらも昨年12月27日に閉店しましたと貼り紙があってめちゃくちゃショックでした。

喫茶富士には戦前のかき氷機があって、そのかき氷機で冬でもかき氷を作ってくれて、とっても美味しかったんです! 昭和47年からおじちゃんが手作りしているというケーキも、お値段1個100円、高くても200円という安さ。雰囲気のある建物も最高だったんですが、ご高齢で続けていくのが厳しくなったようで閉店してしまいました……。

高齢化や新型コロナの影響での閉店は、残念ながらこれからも続いていくんじゃないかと思わます。そこで今回は、ずっとなくならないでほしいから、みなさんにぜひ知ってほしいお店をご紹介します。

沼津レトロ喫茶「喫茶と軽食 ケルン」


こちらには2012年の取材でお邪魔しました。とにかく外観がめちゃくちゃレトロで、入口のドアにも昔ながらのすりガラスや細工が施されていました。

ドアの先はレトロというか、和室! 和室の照明傘が釣り下がっていて、これまた昔ながらのテーブルに茶色い革のソファ。室内にはお客さんからの全国各地のお土産で、こけしや貝細工、日本人形とかもあるんです。さらに、今では絶滅危惧種と言えそうなピンクの公衆電話も! 純和風の雰囲気はお店というより、本当に和室そのもの。そこでお客さんがコーヒーを飲んだりサンドイッチを食べたりしています。

取材時、オーナーの藤原みえこさんに「このお店はすごいですね。昭和ですね!」といったら「そんな古いものはうちにはないだよ」というんです(笑)。創業を聞くと、みえこさんのお父様が昭和10年に始めたということでした。これは当時の夕方の番組調べだったんですが、沼津に現存する最古の喫茶店と言われていると聞きました。

オーナーのみえこさんは昭和12年生まれで今年85歳ですが、現役バリバリのとっても元気で健康なおばあちゃまです。ドイツの街「ケルン」という店名について聞いてみたのですが、「お父さんがつけた名前だけど、由来は聞いていないからわからない」そうでした。

メニューはクリームソーダや昆布茶、サンドイッチなど昔ながらのものがいろいろあります! しかもここではサンドイッチのイが、サンド「ヰ」ッチ! 記載も昭和初期のままのメニューなんです。

私がケルンで特に飲んでいただきたいとおすすめしたいのが、ミルクセーキ! 昭和から作り方を変えておらず、卵の黄身とバニラエッセンス、牛乳、氷、砂糖をミキサーにかけて作るというもの。ミルクセーキって、昔はどこの喫茶店にもあって、昭和の栄養ドリンクといわれていましたけど、最近見なくなりましたよね……。

このミルクセーキのグラスがまたすごいんです。昔の分厚いグラスで、しかも東京都のマークのようなイチョウの形! 分厚いグラスに作りたてのミルクセーキ、口にあてた分厚いグラスの感触にも、ミルクセーキの味にもとにかく懐かしさを感じます。

最近は若い人の間でのレトロブームもあり、ケルンにもお客さんが増えたとみえこさんも喜んでいました。沼津の駅前はアニメ「ラブライブ」の影響もあって観光客が増えているのだそう。ラブライバーたちが紙袋やぬいぐるみを片手にケルンにも訪れるそうで、全国からのお客さんが、逆に増えているそうです。

このようなすてきなお店が静岡にはまだまだたくさんあるんです! 気づかれていないお店も、実はちょっと路地を入ったところにあったり! だからみなさんにも知ってほしいし、行ってほしい。「お客さんが減ったから」「古いお店は、今もう求められていないと思って」と、そんな理由でお店が閉店していっているんです。

求められていないなんて、そんなことは全然なくて! これから新たに作ろうとしても、昭和レトロ風のお店は作れるけど、ケルンのようなお店は二度と作れないから、みえこさんにはずっと元気で続けてほしい。もしも後継者がいなくても、建物だけでも残してほしいと思うんです。そういうお店が県内にはたくさんあります。

みなさんも、もし行ってみたいというレトロなお店があったら、ぜひ行ってほしいです。清水銀座の喫茶富士へは、もう一度行こうと思っていたのに、ある日閉店の貼り紙が出ていました。こういう悲しい思いをしてほしくないし、みなさんが通ってくれれば、お店の人も「よし!もうちょっと頑張ろう」「あと1年頑張ろう」という気持ちになって、それによって健康を取り戻した人もいるんです。

私が以前取材させてもらったお店のなかでも、体力的に厳しくなってきたからお店を閉めようと思っていたけれど、取材がきっかけでお客さんが増えて、お店をやっているうちに元気になったという人もいたんです。だから、みなさんが行くことで、お年寄りの経営者の方々が元気になることもあると思います。2022年はぜひ静岡県の昭和レトロなお店にも目を向けてほしいなと思います。

今回お話ししたような静岡のすてきな昭和の風景は、インスタグラムに写真や動画を毎日1投稿と目標を決めてアップしていますので、ぜひ「小沼みのり」で検索してみてください。あとは、まだ決定ではないですが、5月に自分で企画して昭和レトロのイベントをやろうかなとも考えていますので、お楽しみに!
 
今回のお話は……小沼みのり
静岡市清水区出身。清水東高、早稲田大学卒業。局アナ時代16年間で静岡県の全市町を訪れ5000以上の店・人をリポートしてきた。2021年春 SBSを退社しフリーに。活動テーマは「しずおか愛」。静岡県を元気に!県民が地元をより好きになるお手伝いをしたいと、豊かな経験をフルに生かしてアナウンサー活動を続けている。

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