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静岡新聞教育文化部

【開催中止】『頂ーITADAKIー』主催者も“目玉”と推すフィッシュマンズが登場!開催2日目のおすすめアーティスト3選

台風2号の影響により「頂―ITADAKI―」は中止となりました。(頂―ITADAKI―2023 開催中止のお知らせ」(公式サイト)/2023年6月2日

「頂―ITADAKI―」2日目に出演する私のイチオシ

2022年「頂」の会場風景。22年6月5日付静岡新聞から

 
編集局教育文化部の橋爪充です。6月3、4日に開催を控えた「頂―ITADAKI―」の見どころを書いています。第2回は6月4日に出演するアーティストから個人的に注目している人たちを語ります。

1日目のおすすめはこちら>>>リーガルリリー/青葉市子/GOMA&THE JUNGLE RHYTHM SECTION

2017年6月3日の「頂」。17年6月4日付静岡新聞から

1. フィッシュマンズ


先日ラジオを聴いていたら、「頂」の主催者が今年の目玉を問われて「フィッシュマンズに尽きる」という意味のことをおっしゃっていました。全く同感。出演アーティスト発表第1弾に名前を見つけた時、思わず「おっ!」と声が出たものです。

初期はスカを基調とした軽快なグルーヴと佐藤伸治さんのふにゃっとした両性具有的な歌声が特徴的だったのに、1996年の「空中キャンプ」あたりから一挙にダビーな奥行きのある音になって。メロディーや歌詞の深みも加速度的に進化していって。そんな中で1999年3月15日に佐藤さんが亡くなって。
 
私ごとですが、そんな一部始終をリアルタイムで体験していました。佐藤さんが存命中のラストライブ、1998年12月の赤坂ブリッツ2DAYSは、今でもこれまでに見たライブの中でベストです。とんでもない緊張感と熱量でした。うまく説明できないけれど、「LONG SEASON」の演奏中、ステージ上に大きな「客船」が見えたんです。アルコールも何も摂取していないのに、なぜかはっきりと。

1999年7月の佐藤さん追悼企画「フィッシュマンズ的組合」も見に行きました。ドラマーの茂木欣一さんの声が佐藤さんの生き写しのようで、涙が止まらなかった。フィッシュマンズの素晴らしい楽曲はこれで封印かな、と思ったものでした。

タイムマシンがあったら、あの時の自分に言ってやりたい。「24年後、静岡県内の野外音楽祭に出演するよ」と。信じてもらえそうもありませんが。
 
2021年8月、静岡市葵区の映画館「静岡シネ・ギャラリー」でフィッシュマンズのドキュメンタリー映画の上映会がありました。大ホールで2回。満席。若い人たちもいっぱい。「頂」には、あの時客席にいた人たちも大勢来るんでしょう。フィッシュマンズを見るためだけに足を運ぶ人もいるような気がする。フィッシュマンズ、それだけ特別なバンドなんですよね。

2. EGO-WRAPPIN’


今年は、「頂」に関する新聞記事でEGO-WRAPPIN’の中納良恵さんにインタビューする機会がありました。質問リストを作るためにいろいろ調べていたんですが、この方々は「頂」への貢献度が非常に高いですね。

過去7回出演していて、グリーンステージ、ブルーステージ、両方の「トリ」を務めた経験があります。キャンドルステージにも2019年に出演。このステージには2015年、中納さん単独でも出ています。

時をさかのぼると、中納さんは「頂」の前身にあたる2007年の「浜石まつり」にもダブセンスマニアのゲストボーカルとして登場しています。インタビューでその話題になって、「なんだかすごい坂を上った記憶がある。Leyonaちゃんと一緒に出て、とても楽しかった」と振り返ってくれました。
 
彼らについて一言で表すなら「鉄板」でしょうね。いつ何時、どこに出演しても必ず盛り上げる。「色彩のブルース」「くちばしにチェリー」といったヒットソングも出し惜しみしません。中納さんの声は、ぐいぐい前に出てくるけれど、押し切られているような気持ちにはなりません。個人的には、天上から降ってきた声に釣り上げられているような感覚を得ます。

今年は久しぶりに明るい時間帯に登場。暗闇とミラーボールもいいけれど、ステージから客の顔が見える(だろう)中、中納さんがどう振る舞うかも注目したいと思います。
 

3. 栗コーダーカルテット

 
浜松市出身の川口義之さんが在籍する栗コーダーカルテット。「栗コーダー&ビューティフルハミングバード」名義で2015年に出演していますが、「栗コーダーカルテット」ではかなり久しぶり。なんと「日本平ホテル野外庭園」で開催していた2010年以来です。

覚えています。当時は夕暮れ時に「トライバルステージ」というプログラムがあって、2日目のそこでした。演者がティピィの中に入って、聴く側はそれを取り囲む、といったスタイルでしたね。ちょうど栗コーダーの演奏直前に小雨が降り出して。ティピィを打つ雨の音も記憶に残っています。
 

彼らのステージはとても親密な雰囲気。ユーモラスな楽曲、軽妙なおしゃべりが特徴ですが、そこにキャンドルステージの装飾が加わります。どんな相乗効果が生まれるか。

もう一つ気になっているのが、キャンドルステージの後に登場する「渋さ知らズオーケストラ」のメンバーでもある川口さんが、どうやって移動するのかということ。2日続けて出演した方はこれまでにもいらっしゃいましたが、出番が二つ続くのは「頂」史上初めてではないでしょうか。

ついでに宣伝。2014年に栗コーダーカルテットに対して行った長いインタビュー、ウェブ上に残っていました。結成20周年を機に話を聞いていて、自分で言うのはおかしいかもしれませんが、初期の話は今読んでも面白い。よかったらこちらからどうぞ。
>>>栗コーダーカルテットとの対話(下)(文化生活部ブログ「くらしず」)

静岡県内の音楽、美術、文学、演劇、パフォーミングアーツなど、さまざまな表現活動を追いかけます。教育分野の動きもフォロー。最新情報は公式X(旧Twitter)で。

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