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SBSテレビ 静岡市歴史めぐりまち噺し

静岡の缶詰産業のはじまりのお噺し

2024年1月14日放送の「静岡市歴史めぐり まち噺し」は、缶詰産業のはじまりのお噺しです。
語り:春風亭昇太

缶詰の生産量日本一を誇る静岡県。マグロ油漬け缶詰から始まった、清水の缶詰産業は、ミカン缶詰を製品化することで、さらなる発展を遂げました。

昭和4年に全国に先駆けて製造、販売が始まったマグロの油漬け缶詰。冷凍技術が発達していなかった当時、夏に獲れるビンナガマグロを原料とする缶詰は、冬には製造することができませんでした。冬が収穫期となる静岡特産のミカンを缶詰にすることで、缶詰工場は1年を通して稼働できるようになり、工場で働く人たちの雇用の安定にもつながりました。

種のない温州みかんで作られる缶詰は、当時日本にしかなく、世界に競争相手のいない、強力な輸出品となりました。

不揃いなマグロの切り身をキッチリと缶に収めるマグロ缶詰や、工程に手作業の多いミカン缶詰の製造には細かい作業を得意とする日本の技術が生かされ、それが海外で高く評価されたとも見られています。

ほどなく缶詰はお茶に並ぶ清水港の重要輸出品となり、アメリカで日本製品輸入阻止運動が起こって、日米の貿易摩擦が生まれるほどの産業となりました。

マグロの漁場となる海があり、ミカンの取れる山があり、輸出のための港もある。恵まれた地理的条件によって、清水は缶詰のまちになりました。

太平洋戦争の戦災から復興し、缶詰産業は静岡を代表する産業へと成長を遂げていきます。昭和31年には、県内の缶詰業者の間で、初任給に最低賃金を設定する協定が結ばれました。これは、昭和34年7月の、国による最低賃金法の制定に先んじるもので、その功績を記録する記念碑が建てられています。

静岡市歴史めぐり まち噺し 今日のお噺しはこれにて。

静岡市の観光親善大使でもある春風亭昇太師匠の語りで、歴史や文化、特産品など、静岡市の魅力を紹介するミニ番組です。(毎週日曜日ひる12時54分放送)

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