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【静岡県絡みの映画を楽しむ】「ゴジラ-1.0」だけじゃない!あなたの地元も今春公開映画のロケ地かも!? 県内俳優のイチオシ映画も紹介

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。今回のテーマは「静岡県絡みの映画を楽しむ」。先生役は静岡新聞教育文化部長の橋爪充が務めます。 (SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2024年3月2​7​日放送)
 
(橋爪)今日は映画の話です。以前、3時のドリルでも取り上げた「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」がアメリカのアカデミー賞で視覚効果賞、それから日本アカデミー賞で作品賞をはじめとした8部門で最優秀賞に選ばれたということで、快挙でした。

(山田)いい映画でしたし、面白かったです。

(橋爪)「ゴジラ-1.0」については、浜名湖や遠州灘で撮影されました。アメリカのアカデミー賞受賞を伝えた静岡新聞の記事には、撮影や広報イベントに協力した浜松フィルムコミッションの原田憲治室長の話などを入れました。「ノミネートのときから、この作品においては浜名湖と遠州灘の実写部分を撮影したときの海のシーンが高く評価されていた」と山崎貴監督が話していたというエピソードを紹介しました。

浜松フィルムコミッションの名前を出しましたが、最近は行政や民間が、映画や映像作品を地元で撮りませんかと誘致をする「ロケ誘致」が増えています。それに伴い、映像作品の撮影を支援して、自治体や地域のイメージアップや交流人口拡大を図ろうとする「ロケツーリズム」という取り組みが非常に盛んです。

静岡でロケを行ったものが、他にも結構あるんですよね。いくつか思い当たるものもあるかと思います。

(山田)あります、あります。

(橋爪)ゴジラに続いて、最近静岡県内絡みの映画も公開されていますので、その話をしていこうかなと思います。

「水平線」では静岡県出身俳優が熱演

(橋爪)まずは、静岡の役者が出ている映画を取り上げたいと思います。3月22日から静岡市葵区の静岡シネギャラリーで上映中の小林且弥監督「水平線」です。

(山田)水平線。見てないですね。

(橋爪)最初に断言してしまいますが、傑作です。

主演は静岡市出身のピエール瀧さん。それと、極めて重要な役として、磐田市出身の足立智充さんが出ています。あらすじを説明しますね。

舞台は福島県のとある港町。2011年の東日本大震災で妻を失った瀧さん演じる井口真吾は、生き残った一人娘と暮らしている。
ある日、個人で散骨業を営む井口のもとに持ち込まれた遺骨がかつての通り魔殺人犯のものだった。重罪を犯した者の海への散骨を巡って、足立さん演じるジャーナリストの江田が井口を追求する。漁協をはじめとした地元からの声も上がる。果たして井口の選択は…?

という話です。

大きくて重いテーマを投げかける物語が軸にあり、その周りに、親子や幼なじみ同士の物語、地元の馴染みのスナックに集まる人間模様などの小さなストーリーがあり、大きなストーリーに絡みあって映像化されているんですよ。映画を好きな方にはわかってもらえると思いますが、すごく心地いいんですよね。

(山田)主軸のテーマは、いわゆる通り魔殺人犯ですね。

(橋爪)ですが、復興とは何か、報道やジャーナリズムとは何か、みたいなところも考えさせられる内容なんですよ。

(山田)見たくなってきましたね。

(橋爪)ジャーナリズムとは何かというところを象徴するのが、瀧さんと足立さんが対峙する場面です。

足立さん演じるジャーナリストの江田が、瀧さん演じる井口に、メディアとしての正義を振りかざすんですよ。ところが被災者の1人でもある井口は、また別の考え方をしていて、震災報道でよく使われる「当事者性」というものについてすごく考えさせられるんです。

(山田)当事者性…?

(橋爪)津波の被害に遭ったり、津波で家族を亡くしたりっていう経験は、おそらく多くの静岡県民はしていないと思います。だから、そういう経験をした東北地方の方に対しては、想像して思いを寄せることしかできないと思うんですよ。

ただ、被災者にも個々の事情があるにもかかわらず、われわれは、「被災者」というまとまりのような、一面的な存在として寄り添ったりしているところもあると思います。「それでいいのか」がこの映画のテーマになっています。

(山田)うわー。見たくなりました。

公開中の「変な家」は浜松の鍾乳洞で撮影

(橋爪)静岡ロケが行われた映画としては、3月15日から静岡市葵区のシネシティザート、浜松市中央区のTOHOシネマズ浜松、清水町のシネプラザサントムーンなどで公開中の、石川淳一監督「変な家」があります。

(山田)原作は大ファンなんです。ホラーミステリーです。

(橋爪)映画になると、思ったよりホラー要素が強くてびっくりしましたね。奇妙な間取りの家に出会って、動画クリエイターがこの謎を解きにいろいろと各方面へ歩き出していくというような話です。ざらっとした質感の映像が恐怖を掻き立てていて、お化け屋敷みたいな感じです。

(山田)この映画のどこが静岡なんですか。

(橋爪)浜松市天竜区の青谷鍾乳洞でロケを行ったそうです。クライマックス、思い浮かびますよね?

(山田)へぇー、そうなんだ。

(橋爪)小堀谷鍾乳洞とも言うそうですね。私は足を運んだことがないので、国立映画アーカイブの全国ロケーションデータベースで調べてみましたが、説明としては「小規模の横穴の鍾乳洞で、天井の低い道の先に高さ幅10mほどのホールがあります」と書いてありました。

(山田)あー。静岡とは、知りませんでした。

(橋爪)「変な家」は、小山町の豊門公園でも撮影されているようですね。

「陰陽師0」のロケ地は裾野市!


(橋爪)最後は、4月19日公開の「陰陽師0」です。

(山田)予告を見ました。

(橋爪)基本情報としては、夢枕獏さん原作の陰陽師シリーズ。脚本、監督が佐藤嗣麻子さんで、主演山崎賢人さん。これもちょっとあらすじを紹介します。

陰陽師安倍晴明の若かりし頃を描いた新作。ときは平安時代、既に天才と呼ばれていた若き安倍晴明は、呪いや祟りから都を守る陰陽師の学校であり省庁の陰陽寮で学んでいた。多くの学生とは異なって、陰陽師になる意欲や興味が全くない人嫌いの変わり者という。

ある日貴族の源博雅から皇族を襲う怪奇現象の解決を頼まれる。真相を追うが、ある別の学生の変死をきっかけに、凶悪な陰謀と呪いが動き出す…。

この映画は、裾野市でロケが行われたそうです。森のシーンで神秘的な雰囲気を出していました。ロケ場所は、私の知るところでは、2020年公開の「樹海村」というホラー映画でも使われています。

(山田)そうなんですね。

(橋爪)裾野市内にある学校の敷地もロケに使われているとのことです。映画としては、謎解きミステリーの要素がすごく強い。いろんな見方ができる作品、という印象でしたね。

(山田)予告を見ただけだと、ちょっと意外だな。

(橋爪)予告で見るよりも本格ミステリーという感じを受ける作品ですね。佐藤監督は、始めに紹介した「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督のパートナーなんですよ。

(山田)ご夫婦で、映画監督?

(橋爪)そうですね。実は「陰陽師0」の映画のVFX(視覚効果)の担当も、山崎監督が所属する映像制作会社「白組」が担当しているんです。

実写の画面の上に、ある種のリアリズムを持った龍が表現されているところなど、すごくリアリティーがあったと思いますよ。

(山田)ゴジラと繋がっているところがあるってことですね。

(橋爪)そうなんです。先日、佐藤監督にインタビューした際、「陰陽師0」の見どころを聞いたら、やはりVFXのクオリティの高さを挙げていました。そのあたりも劇場で確認してみてはいかがでしょうか。

(山田)静岡、盛りだくさんです。公開中のものも、これから公開のものもありますから、チェックしてみてください。今日の勉強はこれでおしまい!

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