人材派遣会社がビール醸造 激戦区・沼津で挑戦の”一滴”

 沼津市の人材派遣会社がクラフトビール事業に乗り出した。JR沼津駅南口の沼津仲見世商店街に面した自社所有ビルで、3月から醸造を開始し、6月にはビアレストランも開業した。GKB(旧御殿場高原ビール)=御殿場市=の支援を受け、ビール激戦区の沼津でブランドの確立を目指す。

繁華街の地下に設けたONE DROPのビール醸造所=11日、沼津市
繁華街の地下に設けたONE DROPのビール醸造所=11日、沼津市

 人材派遣会社は「イカイ」。新たに設立した会社、ビールのブランドを「ONE DROP(ワン・ドロップ)」と命名した。
 2012年にイカイが取得した鉄筋コンクリート造り地上4階建てのビルの地階約600平方メートルに、醸造所と飲食店を設けた。コンサルタント契約を結ぶGKBの醸造家がビールのレシピを作成。容量500リットルの発酵タンク7基でピルスナー、ヴァイツェンなど4種を製造する。瓶詰め設備も導入した。
 飲食店、卸との折衝も進み、年内には酒販店に製品が並ぶ見込み。当面はケグ(たる)と瓶で年間6万リットルの販売を目標にする。
 イカイは遊休資産の活用と繁華街の活性化を同時に実現する最適解が、世界中で人気のクラフトビールと判断。20年からプロジェクトを進めた。近鉄グループが運営する醸造所「大和醸造」(奈良市)など異業種のビール参入案件について研究を重ね、自社の醸造所開設にこぎ着けた。
 沼津市は日本有数のクラフトビールメーカー・ベアードブルーイングの創業の地で、17年からリパブリュー、18年から柿田川ブリューイングがそれぞれ市内でビールを醸造している。ワン・ドロップの元木勝一社長は「新規参入した立場だが、地域全体のビール需要拡大に貢献したい」と話した。

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