【D自在】急須がなくてもリーフ茶が楽しめる

 冷茶がおいしい季節になった。急須と湯でいれ、冷ましてから冷蔵庫で冷やす飲み方は以前からあったが、近年は冷水で茶葉を浸出する「水出し茶」が広まっている。熱湯では抽出されにくい免疫力を高める成分が多く含まれ、低カフェインという。

茶葉に氷をのせ、少しずつ水で溶かす「氷水出し」(公益財団法人 世界緑茶協会提供)
茶葉に氷をのせ、少しずつ水で溶かす「氷水出し」(公益財団法人 世界緑茶協会提供)
急須がなくてもいれられる(公益財団法人 世界緑茶協会提供)
急須がなくてもいれられる(公益財団法人 世界緑茶協会提供)
茶葉に氷をのせ、少しずつ水で溶かす「氷水出し」(公益財団法人 世界緑茶協会提供)
急須がなくてもいれられる(公益財団法人 世界緑茶協会提供)


 気がつけば急須でいれるより、ペットボトルの緑茶ドリンクを飲むほうが多くなった。総務省家計調査によると、茶への支出金額は1世帯当たり年間1万円前後で推移しているが、その内訳は2007年以降、茶飲料への支出が茶葉「リーフ」を上回っている。

 静岡県内は二番茶生産の盛期。二番茶は主にドリンク原料になるので需要は堅調。県内の製品出荷額(20年)を見ても、緑茶(リーフの茶)1159億円に対し、茶系飲料は1343億円。緑茶は226事業所の合計だが、茶系飲料は19事業所でこれだけ生産している。

 急須でいれるリーフの茶は緑茶ドリンクに主役の座を譲るのか。急須を使わず上級リーフ茶を味わう「氷水出し」という喫茶法を県外郭団体の世界緑茶協会(静岡市)で紹介してもらって、そんなことはあるまいと確信した。シャンパングラスに直接茶葉を入れ、大きめの氷をのせ、少量の水で溶かしながらすする。蒸しが浅い茶葉を多めに使うのがよさそうだ。

 冷めたお茶より冷えたお茶。上級茶ほどぬるいお湯でいれるので語弊があるかもしれないが、冷やすことでおいしさが引き立つ。茶飲み話も弾むだろう。氷水出しは喫茶の楽しみを増やしてくれそうだ。冷蔵庫や製氷機に改めて感謝しなければ。

 茶の生産、流通とも日本一の静岡県には「茶の都しずおか憲章」もある。喫茶を楽しむ人が多いことは「都」の面目躍如だ。
(論説副委員長・佐藤学)

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