ヤナギハラメカックス(吉田) 個体差ある農産物、出荷自動化へ システム構築、生産性向上

 産業用ロボットシステムのヤナギハラメカックス(吉田町)は、触覚と視覚を融合させたセンサー技術を持つベンチャー「Finger Vision(フィンガービジョン)」(東京)と組み、形状や重量に個体差がある農産物の出荷作業を自動化するシステム構築を進めている。将来の労働力人口減少が予想される中、手作業が軸で人手が必要な農漁業の加工・出荷現場の課題解決を目指す。

エリンギなど個体差がある農作物を想定して構築を進める自動化システム(ヤナギハラメカックス提供)
エリンギなど個体差がある農作物を想定して構築を進める自動化システム(ヤナギハラメカックス提供)

 生産工程の自動化や産業用ロボットを組み込んだシステムインテグレーション(SI)事業の一環。農産物のエリンギの出荷作業の一部の自動化ラインを想定し、触覚センサー搭載のハンドを多関節ロボットの先に取り付け、コンベヤーと組み合わせてベースとなるシステムを設計、製作した。
 センサーは表面の“皮膚”状の素材と内蔵カメラで構成し、ハンドが対象物に触れる際にカメラで取得した画像情報から推定の重量や変形度合いをとらえて分析する。固さや滑り、質感などに応じた適切な力加減でつかんで持ち上げ、置くことが可能で破損や落下を防止できる。
 ロボットの前に対象物が流れてくるまでの画像撮影で、必要な重量基準に届くエリンギを選択してつかむといった調整もできるという。甲信越地方の食品企業と導入可能性の検討を進めている。
 ヤナギハラメカックスのSI事業は、食品や医薬品のほか、主に輸送機器などの製造現場に関わる案件が中心。一方、人の作業を前提とした農漁業の加工、出荷現場の生産性向上の提案に、新たな市場開拓の可能性があると判断した。秋原俊介営業部長は「農漁業が盛んな本県には潜在的なニーズは多いと考える。茶やマグロやカツオの加工作業など、今回のシステムを応用できる場面を掘り起こしたい」と話す。
 (浜松総局・山本雅子)

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