中野浜松市長 就任1年 インタビュー詳報 市民、企業と一体的に

 16年ぶりに浜松市の新たなかじ取り役を担った中野祐介市長(54)が1日で就任1年を迎えた。中野市長は静岡新聞社のインタビューで、2年目の市政運営について「市民や企業の声を聞き、巻き込み、『オール浜松』で地方創生に取り組む」と強調した。

就任1年を振り返りながら、2年目に向けた意欲を語る中野祐介市長=浜松市役所
就任1年を振り返りながら、2年目に向けた意欲を語る中野祐介市長=浜松市役所

 ―1年間を振り返って。
 「初めての経験ばかりで濃密で、あっという間に過ぎた。最も印象に残るのは、実質初の公務となった浜松まつり。3日とも晴天だった上、(俳優の松本潤さんらを招いた)家康公騎馬武者行列があり、来場者は過去最多の255万人を記録した。新型コロナ禍が明け、再び浜松が元気になっていくことを象徴した、いいスタートだった。少子化対策に臨む中、子どもの誕生や成長を祝うことが発端とされる浜松まつりがにぎやかに開かれることに、大きな意味がある」
 ―市政運営の方針は。
 「基礎自治体の主役は市民。主役の思いを行政に反映させる。就任1年目はさまざまな場所に行き、多くの市民の声を聞かせてもらった。2年目も同じスタンスで進める。さらに、市民や企業を市政に巻き込んでいきたい。『人口減少社会からの転換』という大きなテーマに立ち向かうには市役所だけで進めるのではなく、市民や企業に協力してもらうことが大切だ」
 ―2年目の抱負を。
 「市長選から言い続けているのは『浜松から地方創生』。ぶれずに『まち・ひと・しごと』の創生の推進を継続する。1年目は前市長の当初予算と組織体制がベースだったため、浜松の未来を考えて“種まき”を中心に行ってきた。本年度は当初予算の編成に私の思いを反映させた。地方創生に向けた具体的な政策にしっかりと結びつけていく。ただ、これだけやっておけば人口減少が止まる、という『魔法のつえ』みたいな施策はない。まち・ひと・しごとの創生を総合的、一体的に進める必要がある。全てが短期で効果が出るものではなく、地道に時間をかけないと成果が挙がらない行政分野もある。中長期的視点で進めていきたい」
 ―具体的な方向性は。
 「ひとの創生では、子ども・子育てを社会全体で支える仕組みをしっかりとつくる。しごとの創生の点では、浜松の産業の強みを伸ばし、さらに稼げる産業に導く支援をする。産業振興と合わせて理想的な働き方の実現も目指す。中山間地を含めてまちのにぎわいをつくり、文化やスポーツを活用してまちの魅力を高める必要もある。能登半島地震であらためて災害への備えの必要性を感じた。安全・安心に暮らし続けられるまちづくりも重要だ」

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