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大型国際クルーズ船 静岡県内への寄港急増

 北半球で国際クルーズ観光がピークを迎える3~4月、清水港を中心に静岡県内は大型客船「寄港ラッシュの春」を迎えています。4月6日には英国の海運会社が運航する「クイーン・エリザベス」が清水に初寄港。静岡市は2024年度、大型客船の清水寄港が過去最多となる100回程度にまで膨らむ可能性も視野に入れているとのことです。受け入れ拡大が進む県内の現状と背景をまとめました。

「クイーン・エリザベス」清水に初寄港 誘致委員会設立のきっかけに

 英国の海運会社が運航する国際クルーズ船「クイーン・エリザベス」(9万900トン、全長294メートル)が6日午前、清水港日の出埠頭(ふとう)に初寄港した。紺色を基調とした船体が悠々と入港する姿を撮影しようと、同日早朝から三保半島の突端などに市民らが集まった。

清水港に初寄港した国際クルーズ船「クイーン・エリザベス」=6日午前(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・久保田竜平)
清水港に初寄港した国際クルーズ船「クイーン・エリザベス」=6日午前(静岡新聞社ヘリ「ジェリコ1号」から、写真部・久保田竜平)
 岸壁で行われた歓迎式典には静岡県や静岡市、清水港客船誘致委員会のメンバーが駆け付けた。歓迎の花束や記念品などを受け取ったスティーブン・ハワース船長は「日本の皆さまだからできるおもてなしを感謝します」などとあいさつし、日本語で「ありがとうございました」とお礼を述べた。
 同委員会が1990年に設立したきっかけとなったのが、「クイーン・エリザベス2」(2008年引退)の寄港だった。山田英夫会長(72)は「名前を引き継いだ後継船の初寄港に思いもひとしお」と話した。
 クイーン・エリザベスは3月28日に東京を出港。日本各地などを巡り、6日夜には清水港を出港。7日に東京に戻る。
<2024.04.07 あなたの静岡新聞>

 

クルーズ船、清水寄港ラッシュ 24年、3~4月に33回

 北半球で国際クルーズ観光がピークを迎える3~4月、清水港は昨年を上回る“寄港ラッシュの春”となりそうだ。清水港客船誘致委員会事務局によると、21日現在、過去最多だった2023年に比べて13回も多い合計33回の国際クルーズ船の寄港を予定する。4月6日には英国の海運会社が運航する「クイーン・エリザベス」(約9万トン)の初寄港もあるという。

3月の国際クルーズ船清水港寄港スケジュール
3月の国際クルーズ船清水港寄港スケジュール
 同事務局によると、清水港では3月に14回、4月には19回の寄港を予定。同日現在、24年度は通年でも過去最多となる89回の寄港を予定。市は100回程度にまで寄港が膨らむ可能性も視野に入れている。
 関係者が一層盛り上がるのは、クイーン・エリザベスの初寄港だ。1990年4月に客船誘致委員会が設立されるきっかけとなったのが、同年2月の「クイーン・エリザベス2」(2008年引退)の清水港寄港。クイーン・エリザベスは名前を受け継いだ後継船だ。担当者は「清水港からの富士山の眺望の素晴らしさが国際的に認識されてきた証し。感慨深い」とする。
 国際クルーズ船が多く発着する日の出岸壁は、国が昨年末に大規模な改良工事を完了。駿河湾フェリーターミナルが江尻港に移転する25年春以降は、日の出岸壁に大型クルーズ船が2隻同時に着岸可能となる。
 (清水支局・坂本昌信)
<2024.02.22 あなたの静岡新聞>

コロナ禍で途絶えた需要、23年から急回復 田子の浦と御前崎にも寄港拡大

 2023年に静岡県内で予定されているクルーズ船の寄港数は71回で、過去最多だった19年の45回を大幅に上回る見通しとなったことが20日までに、県への取材で分かった。新型コロナウイルス禍で途絶えていた清水港への外国クルーズ船入港が急増し、受け入れ先が田子の浦港や御前崎港にも拡大した。県は外国の船会社への働きかけなど誘致を強化する。

清水港に入港する「アマデア」。外国クルーズ船の寄港が急増している=3月1日(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
清水港に入港する「アマデア」。外国クルーズ船の寄港が急増している=3月1日(本社ヘリ「ジェリコ1号」から)
 県のまとめによると、今月14日時点の23年のクルーズ船寄港数(予定含む)は国外が60回、国内が11回。前年の計16回から4倍超に増える見通しで、コロナ前の水準も大きく上回る。寄港先の内訳は清水港が61回と全体の8割を占め、田子の浦港が4回、御前崎港が2回で続く。
 外国クルーズ船は新型コロナの影響で受け入れを中断。県内は20年から3年連続で寄港がなかったが、今年3月には全国のトップを切ってドイツの船会社が運航する「アマデア」が清水港に入港し、受け入れが再開した。4月には御前崎港と田子の浦港に初めて寄港し、これまで受け入れ実績がなかった港でもインバウンド(訪日客)を呼び込んだ。行動制限の緩和に伴い国内のクルーズ船も復調が見込まれる。
 クルーズ船の寄港が拡大すれば買い物や観光など地域経済への波及効果が期待できる。県内の魅力に触れてもらうことでリピーター獲得につながる利点もある。
 県は誘致強化に向け、外国の船会社に対する働きかけを強める。9月にドイツで開かれる見本市に和歌山、高知、鹿児島県とともに出展し、本県の観光の魅力をアピールして需要を開拓する。県内港湾のクルーズ船誘致組織とも連携し、乗客のおもてなしなど受け入れ事例を共有する。
 今後は各港や自治体による誘致合戦も熱を帯びる見通しで、県港湾振興課の担当者は「キラーコンテンツの富士山だけでなく、静岡ならではの体験型イベントなどを客船誘致組織とともにPRし、受け入れ拡大につなげていきたい」と話す。
 (政治部・森田憲吾)

全国も回復 ピークの6割
 国土交通省によると、2023年に予定されている全国の港湾への外国クルーズ船寄港数は1260回で、ピークだった17年(2013回)の約6割まで回復する見通し。
 受け入れ再開の時期は欧米などに比べ遅れていたが、世界的な旅行需要の高まりを受けて復調している。中国からの便が本格的に再開すれば寄港数はさらに増加するとみられる。
 地方への誘客に向け、国交省は25年に外国クルーズ船が寄港する港湾数を100港まで拡大することを目指している。コロナ前のピークは67港だったが、新たなクルーズ周遊ルートの開拓などを通じ、受け入れ先を大幅に増やす方針を示している。
<2023.07.21 あなたの静岡新聞>

清水港、大型客船2隻同時着岸可能に 日の出岸壁の改良工事完成

 国土交通省清水港湾事務所などは9日、清水港の清水マリンターミナルで、日の出岸壁改良工事完成式典を行った。海外の大型国際クルーズ船が2隻同時に着岸できるようになった改良工事の完成を祝った。

富士山をバックにテープカットをする関係者=清水港日の出岸壁
富士山をバックにテープカットをする関係者=清水港日の出岸壁
 清水港では富士山世界文化遺産登録を追い風に客船寄港数が急増している。大型客船や貨物船の2隻同時接岸に加え、完成から30年以上経過した岸壁の老朽化への対応が課題となっていた。2018年度以降、段階的に工事を進めてきた。
 式典で難波喬司静岡市長は、客船誘致をけん引してきた地元客船誘致委員会に礼を述べ、「2隻同時着岸が可能となった日の出岸壁は新時代を迎えた。受け入れ態勢を整えたい」と述べた。岸壁に移動し、テープカットなども行った。
<2024.03.10 あなたの静岡新聞>
地域再生大賞