小山町と御殿場市、宿泊施設ラッシュ 外国人客、富裕層取り込みへ官民連携 圧倒的人気「富士山」麓強み

 北駿の小山町と御殿場市で、高級ホテルなどの宿泊施設の建設、開業が相次いでいる。日本の象徴として国内外で圧倒的な知名度を誇る富士山の周辺という地域特性を強みに、円安を背景に多く訪日する外国人客や、コロナ禍後の国内富裕層、大都市圏からの観光客の取り込みを狙う。活発な民間観光投資に呼応し、行政も滞在型観光の拡充に力を注ぐ。

強羅花壇の高級ホテルの建設が進む須走地区=4月中旬、小山町
強羅花壇の高級ホテルの建設が進む須走地区=4月中旬、小山町

 富士山北東側の小山町須走地区。登山者らの憩いの場「道の駅すばしり」にほど近い約5万平方メートルの敷地で、2025年開業を目指し、強羅花壇(東京都)のホテル建設が進む。ターゲットは富士山の眺望や登山に加え、両市町域にある19カ所のゴルフ場や国内有数のモータースポーツ施設、アウトレットモールなどの商業施設を訪れる国内外の富裕層だ。
 同町ではモータースポーツ需要を取り込む高級ホテル「富士スピードウェイホテル」が22年10月にオープン。町内の同年度の宿泊客数は前年度比約2・5倍と伸長した。東名高速道の足柄サービスエリア付近でアクアイグニス(東京都)が複合リゾート施設を予定するなど、富裕層が腰を据えて周辺観光を楽しむための環境が着々と整う。町の担当者は「『点』としての観光拠点を線や面で結ぶ情報発信が重要」と策を練る。
 御殿場市では、市が宿泊客数の調査対象とする63施設のうち、少なくとも10施設が直近5年以内に新規開業した。富士山麓の森のコテージ、グランピング、湧水を生かした温泉など地域の魅力を体感できる施設がそろう。市が整備を進める「木のおもちゃ美術館」や新たな大型複合施設などとの相乗効果に期待する関係者も多い。
 22年度の同市の宿泊客数は静岡県内市町5位の113万人。19年度以来、2度目の100万人突破となったが、熱海市(22年度、249万人)など著名観光地との開きは大きい。通過型観光地からの転換を目指し、市は民間と連携を図りながら、予約サイトでのキャンペーン展開や観光商品開発など周遊促進策を進める。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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