静岡県内ニュース
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静岡県内、インフルエンザ流行終息 RSウイルスは継続
静岡県は10日、県内のインフルエンザの流行が終息したと発表した。定点医療機関から直近1週間(4月29日~5月5日)に報告された患者数が1医療機関当たり0・38人(前週1・07人)となり、流行の目安となる「1人」を下回った。流行は36週間続き、記録が残る2002年以降で最も長かった。 流行入りしたのは、2023年8月下旬。警報レベル(開始基準値30人)に入ったのは11月下旬で、記録が残る02年以降だと09年に並んで最も早かった。県は今季について「爆発的な感染拡大はなかったが、一定数の患者がいる状態が長期化し、閉鎖する学級数や閉鎖にかかる患者数も多かった」と話す。 4月に流行入りしたRSウイルス感染症は定点当たりの患者数が前週と同じ1・35人だった。 新型コロナウイルスは定点当たりの患者数が1・99人で、前週の2・92人から減少した。1日当たりの推定患者数は250人。
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コロナ後遺症患者なお多く 生活困難 症状多様 特効薬なく
新型コロナウイルスの後遺症に悩む人は、5類移行から1年たつ今も多い。症状は多様だが、中には激しい疲労感や脱力感に襲われて、長きにわたり日常生活が困難になる人も少なくない。国内外で研究が進み、病原体から体を守る免疫の異常が関係するとの指摘もある。だが発症メカニズムに謎は多く、特効薬もない状況が続いている。 未明まで 4月16日午後11時、渋谷駅周辺では缶ビールを手に談笑する若者が目立つ。駅近くで「コロナ後遺症外来」を掲げるクリニックの平畑光一院長(46)は、人けのなくなった院内でスマートフォン越しに患者と向き合った。外来予約は3カ月以上先まで埋まり、夜間に受け付けるオンライン診療は午前4時まで続く日もある。「5類後も患者はあふれかえっている」と現場の深刻さを訴える。 コロナ後遺症について世界保健機関(WHO)は、感染後3カ月以上経過して、なお疲労感や息切れ、認知機能低下など多様な症状が2カ月以上続き、ほかの病気の診断が当てはまらない場合と定義する。感染者の10~20%で発症し、これまで200種類以上もの症状が報告されている。 免疫 平畑氏のクリニックでは今年に入って感染し、後遺症で寝たきりの状態になった患者もいる。症状の類似性が指摘されているのが「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」だ。簡単な家事をした後にベッドから起き上がれなくなるなど、身体的な負荷をかけると極端に体力を消耗するのが特徴。免疫が自律神経系を攻撃して炎症を起こすのが原因の一つと考えられている。 京都大の上野英樹教授(ヒト免疫学)は免疫細胞の一種「ヘルパーT細胞」に着目する。免疫反応を促して病原体を排除したり、反応を抑えて過剰な攻撃を防いだりする免疫の司令塔だ。 後遺症との関連を調べるため患者血液を分析すると、動悸(どうき)や呼吸困難の症状がある女性グループは、免疫反応を促進するヘルパーT細胞が過剰にあり、倦怠(けんたい)感や頭にもやがかかったようなブレインフォグの症状がある男性グループは、反応を抑制するヘルパーT細胞が少なくなっていた。 複数の原因 上野教授はこの現象を「免疫の乱れ」と指摘。体内に残るウイルスの断片が促進と抑制のバランスを崩し、炎症を起こし続けていると考える。年内にも患者でない人との血液成分の違いを新たに調べる予定で、クラウドファンディングで研究費を募る。 これまでの国内外の研究では、自己免疫反応やウイルス断片の炎症のほか、感染症で炎症を起こした臓器の機能障害、体内に潜伏していた別のウイルスの活性化などが原因と指摘されている。複数混在するとの見方が多く、全容解明には時間がかかりそうだ。 「全国コロナ後遺症患者と家族の会」代表の40代女性は「まだ記憶障害に悩んでいる。後遺症患者が訪問診療などの医療福祉サービスをもっと利用できるようにしてほしい」と要望している。
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全国コロナ感染 12週連続で減少
厚生労働省は7日、全国約5千の定点医療機関から4月22~28日の1週間に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数が計1万5786人で、1医療機関当たりの感染者数は3・22人だったと発表した。前週比0・88倍で、12週連続の減少。 1医療機関当たりの人数が多かったのは沖縄8・34人、秋田6・42人、岩手6・16人。少なかったのは大分1・48人、徳島1・81人、愛媛1・89人など。全国約500の医療機関から報告された新規入院患者数は1301人で前週比0・87倍だった。 同じ1週間に定点医療機関から新たに報告されたインフルエンザの患者数は計5234人だった。1医療機関当たり1・07人で、前週比0・58倍。国立感染症研究所によると、全国の医療機関を受診した推計患者数は約3万9千人だった。
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新たな感染症に備え 病床確保を平時から確約 静岡県、医療機関と協定へ コロナ5類移行1年契機
静岡県感染症管理センター(三島市)は近く、静岡県内の医療機関と、新たな感染症危機に備える医療措置協定の締結を始める。新型コロナウイルス禍当初に入院病床や発熱外来の確保が課題となったことを踏まえ、有事の患者対応を事前に約束しておく内容。医療機関は千を超える見込みで、新型コロナの5類移行から1年を契機に、平時からの「オール静岡」体制の構築に着手する。 「協定指定医療機関」となる施設は、コロナの2類時に病床を提供してきた病院や、発熱外来として機能した診療所。県が今春全面改定した感染症予防計画によると、協定機関との連携により、感染症危機当初(国内発生から3カ月以内)の入院病床数を400床程度、それ以降(4~6カ月)は700床程度まで増やす方針。発熱外来も当初760カ所、それ以降は930カ所の開設を目標とした。 新型インフルエンザなど新興感染症の危機について国が公表した場合、同センターが司令塔として一定の権限を持ち、地域の感染状況を見ながら協定機関に受け入れ対応を要請する。コロナ禍では県内の医療体制が最大値になるまで約3年かかったのを半年で実現させ、早急に体制を整える。 国は2022年に感染症法を改正し、各都道府県に対して新型コロナ対応を念頭に新たな感染危機への準備に取り組むよう求めた。県はコロナ禍での実績を基に各施設に協定の意向を照会し、改正計画で病床数などの数値目標を明示した。病床数の目標値は国のガイドラインをベースにした数値の8~9割に当たる。県は「人口減少に伴う一般病床の動向や、病床の確保による各地の医療体制への影響を見据えて必要量を設定した」としている。 (社会部・大須賀伸江)
ワクチン関連 静岡県内の動き
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接種後に不安大幅解消 子宮頸がんワクチン、岡山大調査
岡山大は、学生や教職員の希望者に子宮頸[けい]がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種をしたところ、重篤な副反応はなく、接種前に感じていた不安が大幅に解消したとする調査結果を発表した。 HPVワクチンは2013年6月から約9年間にわたって国が積極的勧奨を控えて接種率が大幅に下がったため、1997年4月2日~2007年4月1日生まれの女性は公費負担でキャッチアップ接種が受けられる。 岡山大は昨年8月から今年1月にかけて、学生と教職員150人に3回までのキャッチアップ接種を実施し、副反応などに関するアンケートに答えてもらった。有効な回答があったのは約110人。 その結果、接種後の局所の痛みは約60%、腫れは約30%、発熱は約4%の人であった。症状は接種当日から翌日には消える人が多く、継続した診療が必要な副反応が出た人はいなかった。 新型コロナウイルスワクチンを打ったことのある人で、HPVワクチンの方が副反応が「軽かった」または「やや軽かった」と答えた人は90%を超えた。 接種前は約60%が「不安があった」と答え、不安の内容は副反応に関するものが多かったが、接種1週間後の調査では、約90%が「不安はない」と答えていた。調査をまとめた岡山大保健管理センターの樋口千草准教授は「HPVワクチンに不安を持ち、接種を迷っている人は多い。副反応の程度を知って、接種を前向きに考えてほしい」と話している。 国のキャッチアップ接種事業は25年3月で終了するが、必要な3回の接種を公費負担で完了するには今年9月までに接種を始める必要がある。
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止まらぬ値上げ 家計逆風の春 トラック運転手、医師は残業規制 保険料上げ、コロナワクチン自己負担も 4月 変わる暮らし
2024年度が始まる4月を迎える。長引く円安や人手不足で企業は商品やサービスの値上げを継続し、新型コロナウイルス関連ではワクチン接種に自己負担が導入される。高齢者の中には、各種保険料が引き上げられる人も。大企業を中心に賃上げは進んでいるものの、家計への逆風は強くなりそうだ。トラック運転手や医師の残業規制も強化される。 帝国データバンクによると、4月の食品値上げは2806品目。記録的だった前年同月の5404品目からは半減するが、幅広い分野に及ぶ。大手食品メーカーのハムやソーセージは最大4割程度高くなる。サントリーなどはウイスキーを値上げする。 日本郵便はゆうパックの翌日配達を一部地域で縮小し、翌々日にする。ヤマト運輸と佐川急便は宅配便の料金を上げる。日銀が3月にマイナス金利政策を解除したことを受け、多くの銀行は普通預金や定期預金の金利を引き上げる。変動型の住宅ローン金利は据え置く金融機関がほとんどだ。 社会保障関連では、新型コロナに感染した際の医療費への公費支援が終了する。無料で打てたワクチンは、65歳以上の高齢者らは自己負担7千円程度となる。対象外の人は原則全額自費となる。また、高齢者は年齢や収入に応じて公的医療保険料や介護保険料が引き上げられる。 制度面では、トラックやバス、タクシーなどの自動車運転業、建設業、医師、鹿児島・沖縄両県の製糖業で残業規制が強化される。人材確保難から物流が滞る「24年問題」が懸念されている。一方で一般ドライバーが自家用車を使い有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」が始まる。まずは東京、横浜、名古屋、京都の都市部を中心にスタートする見通しだ。 改正障害者差別解消法の施行では、車いす移動のサポートなど、過度な負担にならない範囲で対応する「合理的配慮」が企業に義務付けられる。企業に求められる障害者の雇用割合(雇用率)は、現行の2・3%から2・5%に上がる。 相続した不動産の登記は義務化される。土地の所有者が分からずに災害復興や都市開発の妨げになるのを防ぐのが狙い。これまでに引き継いだ不動産も登記が必要だ。
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コロナ定期接種 7000円 24年度、65歳以上対象
65歳以上の高齢者らを対象に2024年度から始まる新型コロナウイルスワクチンの定期接種を巡り、厚生労働省は15日、自己負担額が7千円程度になるよう費用を助成すると発表した。厚労省は「負担が急激に増えないように検討した」と理由を説明。定期接種の対象者は3600万人程度と想定し、対象外の人は原則自費で打つ任意接種となる。 厚労省によると、各メーカーから非公開で聴取した希望価格を基に、ワクチン代を「1万1600円程度」と算出。医療者の手技料を含む接種費用は「1万5300円程度」とし、超過分の8300円を市町村に支給する。 新型コロナワクチンは3月末まで「特例臨時接種」として無料で打てるが、4月以降は65歳以上の高齢者らを対象に年1回秋冬に打つ定期接種となり、自己負担が生じることになっていた。日本では21年2月にワクチンの接種が始まった。
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富士宮市庁内のワクチン会議解散
富士宮市は16日、庁内横断組織「新型コロナウイルスワクチン接種プロジェクトチーム」を解散した。今後の接種業務は担当課で行う。同チームは2021年1月下旬から54回会議を開き、集団接種の調整や政府の動向などを協議してきた。ワクチンの特例臨時接種が3月末で終了し、4月から季節性インフルエンザと同様の区分に移行するため、解散が決まった。
全国・国際ニュース
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コロナ後遺症患者なお多く 生活困難 症状多様 特効薬なく
新型コロナウイルスの後遺症に悩む人は、5類移行から1年たつ今も多い。症状は多様だが、中には激しい疲労感や脱力感に襲われて、長きにわたり日常生活が困難になる人も少なくない。国内外で研究が進み、病原体から体を守る免疫の異常が関係するとの指摘もある。だが発症メカニズムに謎は多く、特効薬もない状況が続いている。 未明まで 4月16日午後11時、渋谷駅周辺では缶ビールを手に談笑する若者が目立つ。駅近くで「コロナ後遺症外来」を掲げるクリニックの平畑光一院長(46)は、人けのなくなった院内でスマートフォン越しに患者と向き合った。外来予約は3カ月以上先まで埋まり、夜間に受け付けるオンライン診療は午前4時まで続く日もある。「5類後も患者はあふれかえっている」と現場の深刻さを訴える。 コロナ後遺症について世界保健機関(WHO)は、感染後3カ月以上経過して、なお疲労感や息切れ、認知機能低下など多様な症状が2カ月以上続き、ほかの病気の診断が当てはまらない場合と定義する。感染者の10~20%で発症し、これまで200種類以上もの症状が報告されている。 免疫 平畑氏のクリニックでは今年に入って感染し、後遺症で寝たきりの状態になった患者もいる。症状の類似性が指摘されているのが「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」だ。簡単な家事をした後にベッドから起き上がれなくなるなど、身体的な負荷をかけると極端に体力を消耗するのが特徴。免疫が自律神経系を攻撃して炎症を起こすのが原因の一つと考えられている。 京都大の上野英樹教授(ヒト免疫学)は免疫細胞の一種「ヘルパーT細胞」に着目する。免疫反応を促して病原体を排除したり、反応を抑えて過剰な攻撃を防いだりする免疫の司令塔だ。 後遺症との関連を調べるため患者血液を分析すると、動悸(どうき)や呼吸困難の症状がある女性グループは、免疫反応を促進するヘルパーT細胞が過剰にあり、倦怠(けんたい)感や頭にもやがかかったようなブレインフォグの症状がある男性グループは、反応を抑制するヘルパーT細胞が少なくなっていた。 複数の原因 上野教授はこの現象を「免疫の乱れ」と指摘。体内に残るウイルスの断片が促進と抑制のバランスを崩し、炎症を起こし続けていると考える。年内にも患者でない人との血液成分の違いを新たに調べる予定で、クラウドファンディングで研究費を募る。 これまでの国内外の研究では、自己免疫反応やウイルス断片の炎症のほか、感染症で炎症を起こした臓器の機能障害、体内に潜伏していた別のウイルスの活性化などが原因と指摘されている。複数混在するとの見方が多く、全容解明には時間がかかりそうだ。 「全国コロナ後遺症患者と家族の会」代表の40代女性は「まだ記憶障害に悩んでいる。後遺症患者が訪問診療などの医療福祉サービスをもっと利用できるようにしてほしい」と要望している。
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全国コロナ感染 12週連続で減少
厚生労働省は7日、全国約5千の定点医療機関から4月22~28日の1週間に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数が計1万5786人で、1医療機関当たりの感染者数は3・22人だったと発表した。前週比0・88倍で、12週連続の減少。 1医療機関当たりの人数が多かったのは沖縄8・34人、秋田6・42人、岩手6・16人。少なかったのは大分1・48人、徳島1・81人、愛媛1・89人など。全国約500の医療機関から報告された新規入院患者数は1301人で前週比0・87倍だった。 同じ1週間に定点医療機関から新たに報告されたインフルエンザの患者数は計5234人だった。1医療機関当たり1・07人で、前週比0・58倍。国立感染症研究所によると、全国の医療機関を受診した推計患者数は約3万9千人だった。
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全国コロナ感染 10週連続で減少
厚生労働省は19日、全国約5千の定点医療機関から8~14日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が、計1万8297人だったと発表した。前週比0・87倍で、10週連続の減少。1医療機関当たりの感染者数は3・71人だった。北海道や沖縄を除く42都府県で減少した。
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全国コロナ感染 9週連続で減少
厚生労働省は12日、全国約5千の定点医療機関から1~7日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が、計2万968人だったと発表した。前週比0・84倍で、9週連続の減少。1医療機関当たりの感染者数は4・26人だった。 1医療機関当たりの感染者数が多かったのは秋田10・83人、宮城8・96人、岩手8・95人で東北地方が目立つ。少なかったのは山口2・58人、広島2・62人、東京2・74人など。全国約500の医療機関から報告された新規入院患者数は1790人で、前週比0・89倍だった。 同じ1週間に定点医療機関から報告されたインフルエンザの新規患者数は計2万5106人だった。1医療機関当たり5・10人で、前週比0・46倍。国立感染症研究所によると、全国の医療機関を受診した推計患者数は約16万1千人だった。