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「ゲーミングラーメン」開発も? 注目集まる高校「eスポーツ部」の今は

 五輪競技への採用が期待される「eスポーツ」。部活動で取り組む静岡県内の高校が出始め、注目を集めています。沼津市の誠恵高eスポーツ部は、市内の2店の人気ラーメン店と共に、ゲーム中の集中力を高めるオリジナルの「ゲーミングラーメン」の商品化を進めています。高校「eスポーツ部」の今に迫ります。

ゲーム中の集中力UP?のラーメン開発 誠恵高eスポーツ部と人気2店舗

 沼津市の誠恵高eスポーツ部と市内の2店の人気ラーメン店が、ゲーム中の集中力を高めるオリジナルの「ゲーミングラーメン」の商品化を進めている。競技中にパソコンにこぼさないよう汁の少ないまぜそばとし、疲労回復などの効果があるとされる食材を盛り込む。今夏には冷凍での一般販売も目指す。

「真卓朗商店」の亀山さん(左)が開発したゲーミングラーメンを試食するeスポーツ部員=沼津市の誠恵高
「真卓朗商店」の亀山さん(左)が開発したゲーミングラーメンを試食するeスポーツ部員=沼津市の誠恵高
 ラーメンは「麺百式」店主で、ゲーム好きの佐藤貴彦さん(44)が企画した。競技者は集中力を高めるため、カフェインの多く入った飲料を飲むことが多く、「自然の食材で効果が出せないか」と「真卓朗商店」の亀山卓朗さん(50)に相談。亀山さんが高麗人参などを加えたメニューを提供した経験を生かし、開発した。
 17日は同校でeスポーツ部員が試食した。部員はニンニクやショウガ、煮豚などが入ったスープ・具材と味の絡みやすい平打ち麺を混ぜ合わせて味わった。2年の田中大雅部長(16)は「こってりしていておいしい。もう少し味が薄くてもいいかも」と提案した。
 部員から一般販売時の商品名を募り、同校の美術部がパッケージを担当する計画。佐藤さんは「注目の集まるeスポーツを高校生と沼津から盛り上げたい」と意気込む。
(東部総局・尾藤旭)
〈2024.04.19 あなたの静岡新聞〉

静岡県内高校「eスポーツ部」続々発足 教育との両立、各校試行錯誤

※2020年11月1日 静岡新聞朝刊

11月の大会に向けゲームの練習に励む生徒。県内の高校でeスポーツ部発足の動きが出始めている=沼津市の飛龍高
11月の大会に向けゲームの練習に励む生徒。県内の高校でeスポーツ部発足の動きが出始めている=沼津市の飛龍高
 コンピューターゲームの腕前を競う「eスポーツ」に、部活動で取り組む静岡県内の高校が出始めている。競技人口が増えて関心が高まり、将来的な五輪競技採用も期待される。一方、ゲームのやり過ぎによる学校生活への支障を懸念する声も強い。各校は部活を通じた技術、精神の成長と健全育成の両立を図るため、試行錯誤しながら活動を始めている。
 「あと30秒。攻めるから守りは頼む」。10月下旬、沼津市の飛龍高。放課後の教室ではオンラインゲームに取り組む生徒の声が響いた。同校は来年度からeスポーツ部を新たに発足する。必要な機材や回線環境の整備を学校が全面的に支援。現在は0年目として生徒4人が11月14日に開幕する「全国高校eスポーツ選手権」に向けた練習に励んでいる。
 「あいさつや礼儀など、部活で身に付ける力は運動もゲームも同じ」と顧問の池田基樹教諭(35)。生徒は動画を分析して意見交換したり技術を教え合ったり、コミュニケーションを図る機会につながっているという。2年の桜井敦さん(16)は「遊びのゲームとeスポーツは雰囲気がまったく違う。他の部活と同じくチームで取り組んでいる実感がある」と充実した表情を見せる。
 県内の全日制高校では2校で本年度から部活動としてのeスポーツが始まり、各校は学校教育とeスポーツを両立させる活動を模索する。県立伊豆総合高土肥分校(伊豆市)は、部活動の時間に校内清掃などのボランティア活動にも取り組む。琴岡隼志教諭(25)は「自らを律してゲームを有益に活用し、自立した大人への成長を図ってほしい」と期待する。浜松学芸高(浜松市中区)では、部員が校内でのeスポーツ大会の企画運営や活動の啓発にも取り組む。
 世界保健機関(WHO)は昨年「ゲーム障害」を依存症の一つに認定。eスポーツが普及して学校でゲームをすることに否定的な意見もある。池田教諭は「教育としてメリハリを持ち、真剣に取り組める環境をつくりたい」と話す。
 (大石真聖)
「意識的に時間管理を」 静岡大・塩田准教授  情報教育に詳しい静岡大教育学部の塩田真吾准教授は「eスポーツは長時間でも疲れを感じにくく、夢中になりやすい」と注意点を挙げる。娯楽のゲームが部活動になると、強くならなければいけないという義務感から歯止めがきかなくなる恐れもあると懸念する。健全な活動のためには「適度な休憩など、意識的な時間管理がより重要になる」と指摘する。
 一方、eスポーツを特別視する必要はなく、部活動としての取り組みによる好影響にも期待する。「他の部活では学校になじめなかった生徒が、高校生活を楽しめるきっかけになる」と強調する。

伊豆総合高土肥分校、生徒確保に向けて発足 静岡県内公立高校で初

※2020年8月3日 静岡新聞朝刊

 顧問の琴岡教諭(左)と今後の活動の打ち合わせをする部員=伊豆市の伊豆総合高土肥分校
顧問の琴岡教諭(左)と今後の活動の打ち合わせをする部員=伊豆市の伊豆総合高土肥分校
 伊豆市の伊豆総合高土肥分校に本年度、コンピューターゲームで競う「eスポーツ部」が静岡県内公立高で初めて発足した。減少が続く生徒の確保に向けた魅力づくりの一環。「健康的にゲームをやろう」をテーマに決め、ゲーム以外に運動やボランティア活動にも取り組む。
 伊豆半島西海岸に位置する同校は、本年度の入学者が8人だった。県教委は第3次長期計画で「2年連続で入学者が15人を下回った場合、募集を停止する」と定めているため、特色のある部活によって入学者の増加につなげようと創部が決まった。
 部員はいずれも1年の関野智城さん、山田瑚夫さん、深瀬礼さんの3人。サッカーゲーム「ウイニングイレブン2020」と「太鼓の達人」の練習に取り組む。まずはオフラインで部員同士の連携強化を図り、その後オンライン対戦ができるように校内のネット環境整備に着手する。
 機材がまだそろっていないため、夏休み明けから本格始動する。部員は現在、顧問の琴岡隼志教諭らとともに同校グラウンドで球技などを行って体を動かしている。山田さんは「高校生活で新たな挑戦をしたいと考えた。まだ3人しかいないが、来年以降は自分たちが部活を引っ張っていけるようにしたい」と意気込みを語った。
 中学生を対象とした体験入学でも、活動を積極的にPRする。秋山達副校長は「ずっと画面の前にいるだけではなく、運動やボランティアを通じて心身のバランスを保ってほしい」と期待した。
 (小沢佑太郎)

eスポーツ容認派が増加 「高校なら部活OK」2割 2020年世論調査

※2020年8月24日 静岡新聞夕刊

 時事通信が7月に実施した「健康とスポーツに関する世論調査」で、コンピューターゲームで対戦するeスポーツは学校の部活として認められるべきかを聞いたところ、約2割が「高校からなら」と回答した。
 eスポーツは米国などで人気が高く、国内でも地方に専用施設がオープンするなど活況を見せている。まず、「今後eスポーツが一般的なスポーツ競技として普及するか」を聞いた。昨年4月の前回調査と比較すると、「普及する」が46・9%(前回42・8%、以下同)で4・1ポイントアップした。
 「普及する」との回答を年代別で見ると、18~29歳が58・4%(同58・1%)、30歳代が65・6%(同60・8%)と若い世代の支持は変わらなかったが、50歳代でも56・4%(同46・3%)、60歳代で41・5%(同40・1%)と中高年にも理解が広まっていた。
 また、eスポーツを学校の部活動として認めるべきかと聞くと、「認められるべきではない」が33・4%(同42・6%)と前回から減少した。
 「高校からであれば認められるべきだ」が22・7%(同18・9%)、「中学校からであれば認められるべきだ」が9・3%(同8・3%)、「小学校も含めて認められるべきだ」は9・4%(同8・5%)と全体的に増えた。前回と比較すると容認派が計41・4%と否定派を上回った。
 調査は7月10~13日、全国の18歳以上の男女2000人に個別面接方式で実施、有効回収率は61・5%。
地域再生大賞