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尊富士に馬力と工夫 痛快な出足 衝撃与える【大相撲 110年ぶりの衝撃㊤】

 大相撲春場所で24歳の尊富士が初優勝を果たし、110年ぶりの新入幕制覇を達成した。快挙を支えた取り口や角界に及ぼす影響を探った。

大相撲春場所で尊富士(左)が琴ノ若を破って11連勝=20日、エディオンアリーナ大阪
大相撲春場所で尊富士(左)が琴ノ若を破って11連勝=20日、エディオンアリーナ大阪

 尊富士の快進撃は速攻が原動力だ。鋭い立ち合いから素早く仕掛け、右足首靱帯(じんたい)損傷を押して臨んだ千秋楽も真っ向勝負。引き締まった細い脚には「今でも50メートルは6秒台で走れる」と誇るほどの馬力と瞬発力を秘める。筋骨隆々の上半身を生かしたおっつけも強烈で、若さあふれる痛快な相撲は周囲に衝撃を与えた。
 土俵下で勝負審判を務める二子山親方(元大関雅山)は「気持ちがいい。基本は押しだが、左が入れば四つに組んでも取れる」と評する。初日から11連勝とした大関琴ノ若戦では攻めに後退しながら、いなしてすかさず中に入って逆襲。一気に寄り切った。同親方は「押し込まれた後の対応も早い。がんがん攻めるから、相手も勢いを止められない」と絶賛した。
 出足を生かす工夫も随所に見られる。立ち合いでは左足をやや前に出して構え、右足から鋭く踏み込んで先手を取る。同様の動きを試した経験がある音羽山親方(元横綱鶴竜)は「前の足に体重をかけることで、足が出やすくなる。一番いい当たりができる形なのだろう」と分析する。
 鳥取城北高時代から膝のけがに苦しんだことで、前に出る取り口を徹底した。伊勢ケ浜部屋入門後は横綱照ノ富士の胸にぶつかって猛稽古。尊富士は一躍脚光を浴びても「力や技術では、まだ上位にかなわない」と謙虚に話す。底知れない向上心で進化を続けていく。

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