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大谷選手元通訳 違法賭博疑惑 大リーグ機構 調査開始

 【ロサンゼルス共同】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手(29)の通訳を務めた水原一平氏(39)が、違法賭博に関与した疑いがある問題で、大リーグ機構(MLB)は22日、「この件の調査手続きを正式に開始した」と声明を発表した。

米大リーグ、ドジャース・大谷翔平選手の隣で通訳する水原一平氏(左)=2月、米ロサンゼルスのドジャースタジアム(AP=共同)
米大リーグ、ドジャース・大谷翔平選手の隣で通訳する水原一平氏(左)=2月、米ロサンゼルスのドジャースタジアム(AP=共同)

 ソウルで開幕シリーズを終えたドジャースは、24日(日本時間25日)にロサンゼルスでオープン戦を再開し、28日(同29日)からは公式戦も控える。問題発覚後、取材に応じていない大谷選手や球団側の対応が注目される。
 MLBは声明で「報道を通じて疑惑を覚知して以降、情報を集めている」とした。MLBの規定では「違法なブックメーカー(賭け屋)と賭けをした選手や審判員らは行為の事実や状況に応じ、コミッショナーが適切とみなす処分の対象となる」などと定めている。
 スポーツ専門局ESPNによると、水原氏は違法ブックメーカーに借金があり、大谷選手の口座から少なくとも450万ドル(約6億8千万円)が送金された。AP通信は、日本の国税庁に相当する内国歳入庁(IRS)が水原氏を捜査していると伝えている。
 水原氏はESPNの取材に「違法とは知らなかった。野球に賭けたことはない」と述べ、大谷選手の賭博関与を否定した。当初は「(大谷選手が)自分が同じことをしないように確認した上で助けてくれた」と説明していたが、その発言は撤回したという。
 NBCテレビは水原氏が卒業したとされるカリフォルニア大リバーサイド校を取材し、広報によると学校での出席記録がないと伝えた。

 違法認識有無焦点に 弁護士「送金関与なら処分も」
 米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏が違法賭博に関与したとされる問題は、どこがポイントか。球団本拠地ロサンゼルスがある米カリフォルニア、ニューヨーク両州の弁護士資格を持つ村尾卓哉氏(40)=東町法律事務所=は、まず「大谷選手本人が罪に問われる可能性は、現時点ではないだろう」と考える。
 今回の問題で、「違法性」についての論点は①違法組織での賭け事②スポーツ賭博が禁じられているカリフォルニア州での賭け事-の二つ。村尾氏は問題の根本は前者と指摘し、「米連邦全体で捜査する事件で、大谷選手の口座から巨額が送金された。州法ではなく、連邦法による無認可賭博の大きな案件になる」と整理した。
 米スポーツ専門局ESPNによると、水原氏は違法賭博の疑いで捜査を受けている胴元と取引。大谷選手の口座からは、少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金されていたという。
 村尾氏は「横領や窃盗なら、大谷選手は被害者。肩代わりでも犯罪とまでは言えない」と説く。
 ただ、大谷選手が無認可賭博の胴元と認識し送金した場合、選手活動に影響する恐れがある。「法の話ではないが、大リーグにはギャンブルに関する規定がある。大谷選手が違法組織への送金に関与したなら、処分なしとはいかないだろう」。大リーグの規定では、直接賭博をしていなくても違法な賭博ビジネスのために働いた場合などは、最低1年間の資格停止処分となる。村尾氏は資金の流れなどについて、大谷選手が捜査当局から事情聴取を受けるとの見通しも示した。
 水原氏に関しては、違法賭博で1000ドル(約15万円)以下の罰金、6カ月以下の禁錮刑、横領または窃盗で3年以下の禁錮刑の可能性があるという。「もし家を建てるために金が必要などと大谷選手にうそをついていたなら電信詐欺になる」。この場合は連邦法に抵触し、最長20年の禁錮刑となる。
 巨額の収入がある大谷選手に近い水原氏が金づるとして借金漬けにされたとの見方もある。村尾氏は「大谷選手が助けたかったとしたら、球団や弁護士に相談すればよかった。金銭の管理も含め、甘かったと言わざるを得ない」と残念そうに話した。

 米紙「沈黙は臆測招く」 大谷選手に説明求める
 【ワシントン共同】米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の通訳を務めた水原一平氏が違法賭博に関与した疑いで事実上解雇された問題で、22日付のロサンゼルス・タイムズ紙は「大人になれ」と題したコラムで「沈黙は臆測を招く」とし、大谷選手に説明を求めた。
 大リーグ機構(MLB)は22日、「調査手続きを正式に開始した」との声明を発表。大谷選手自身の責任問題に波及するかが焦点となる。水原氏は当初、大谷選手が借金の肩代わりをしたと説明しており、大谷選手から違法賭博業者への送金が判明すれば罪に問われる可能性がある。
 水原氏は19日のスポーツ専門局ESPNの取材に、借金返済の依頼を受けた大谷選手が自らパソコンにログインして業者に送金したと答えた。ところが20日になって「大谷選手は何も知らない」と説明を一転させた。
 大谷選手の代理人も同日、大谷選手は「巨額な窃盗の被害者だ」とする声明を出した。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」は22日、「このままでは大谷選手が法的危機に陥ると弁護団が危惧したと推測するのが最も論理的だ」とした。
 大谷選手は沈黙を貫いている。ロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデス記者はコラムで「野球少年であり続けるには、球場外で大人にならなければならない」と諭した。
 水原氏が関わったとされるブックメーカー(賭け屋)が拠点を置くカリフォルニア州ではスポーツ賭博は禁止。複数の米メディアは専門家の話として、違法な業者への送金は犯罪企業のほう助と見なされかねず、違法と知りながら借金を肩代わりすれば、重い処罰を受ける可能性があると伝えている。

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