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【静岡県知事選】大学生座談会 静岡県変える気概 感じたい【動画あり】 

 静岡新聞社・静岡放送は投票率向上キャンペーン「決める、未来」の一環で、県東・中・西部の大学に通う学生を静岡市駿河区の静岡 新聞放送会館に招き、9日告示、26日投開票の知事選に向けた座談会を開いた。植田勝也さん、白土優羽さん、赤松優さん、小長谷笙さん、オンライン参加の鈴木幸子さん(写真は別日撮影)の5人が、次の知事に期待する施策や静岡県の未来について話し合った。
photo03 東部の政策 忘れないで  Q 川勝平太知事が新規採用職員への訓示で職業差別と受け取れる発言をし、批判を浴びて辞職に追い込まれ、急きょ知事選が行われることになった。一連の出来事をどう見るか。
 小長谷 公務員を持ち上げ、他の職業をおとしめたのは公の立場にある者として良くない。選挙で県民に負託されたことからも任期を全うする責任があった。
 植田 本当のところ、なぜ辞職表明したのか誰も分からない。本心でちゃんと自分の言葉で話してほしい。失言を認め謝るべきだ。
 白土 一人一人が働き、社会をつくっていることをどう思っているのか。こういう大人がいるんだと思う子どもが増えるのが心配。
 赤松 川勝知事が東京五輪・パラリンピックで自転車競技の県内開催に尽力した点は評価していたが、この発言一つで崩れてしまった。
 鈴木 突然の辞職表明はあっけにとられた。知事はこれまでも不適切な発言をたくさんしてきたが、任期の最後まで続けると思っていた。 

 Q 若者にとって今回の知事選への関心は高いのか低いのか。投票に行く若者は多そうか少なそうか。
 植田 全国ニュースにもなったので知事の辞職に関心は高いと思うが、知事選への関心は高くない。個々の立候補予定者はあまり認知されていないんじゃないか。
 小長谷 個々の友達と話すと、政治に興味があったり危機感を抱いていたりする人もいる。でもわざわざ投票所には行かない人も多い。
 鈴木 他の学生を見ると、最初から無関心な人か、知事の発言に失望した人かのどちらか。投票率の上昇にはつながらないと思う。
 赤松 投票率は通常と変わらないか、低くなると思う。若者は自分の生活で精いっぱいで、あまり政治や行政に期待していない。
 白土 知事選は友達との話題に上らない。政治で暮らしが変わるスピードより情報技術の進化で生活が変わるスピードの方が速い。

 Q 今回の立候補予定者の顔触れや構図についての印象は。
 赤松 県中部、西部を地元とする立候補予定者ばかりで、東部の政策が忘れられないか心配だ。東部は大学や学生が少ないため、大学をもっと増やしてほしい。観光資源を生かし、関東圏から東部への移住促進にも力を入れてほしい。
 小長谷 東部を地元とする立候補予定者がいないので、東部で票を集めようと立候補予定者は意外と東部へ遊説に入っている。そこが今回の知事選の面白い点で、東部での争いに注目している。
 植田 地域の経済界から擁立されたとか、何々の団体から推薦を受けたとか、そういう面ばかり強調されると、自分たちとは関係ないところで候補者が選ばれる気がしてしまう。そういう点も若者が選挙に食いつかない要因の一つだと思う。
 白土 確かに、そういう感覚はあるかもしれない。

教育施策見直し 注力を  Q 若者の目線から今、県に力を入れてほしいと思う施策はどんなことか。
 鈴木 奨学金の返済支援。福利厚生として支援制度を設ける会社もあるが、県にも制度があれば魅力的。
 赤松 私の周りにも奨学金を借り、1日1食ほどで生活する学生がいる。未返済だと借金を背負ったまま社会人になる。支援策を望む。
 白土 教育施策の見直し。「自分たちの社会は人任せでなく、自分たちが変えていく」という市民意識を持った人を育ててほしい。
 植田 身近な行政と言えば自分が住む市で、県の役目はやや分かりにくい。県政には市政で救いきれない人を救済してほしい。
 小長谷 例えば消費刺激策として県内全域で使えるクーポン券を給付すれば、観光地も潤うし、困窮者も生活必需品を買える。

 Q 人口減少は地方の将来にとって大きな課題だ。あなたは今後、就職などで県外に転居する可能があると思うか。その理由は。
 赤松 最初の就職は東京などでして、競争力が問われる環境で刺激を受けたい。生まれも育ちも県内なので他の都市を経験し、自分がどこで輝けるか見極めたい。
 植田 静岡に残る。地元の牧之原や高校で通った島田、大学がある浜松などにそれぞれ友達がいる。自分が築いた人間関係はそこにしかないし、東京で同じものはつくれないから。
 白土 ずっと静岡に住み続けると思う。自分を育ててくれた土地で働き、恩返ししたい。都会すぎず田舎すぎず、不便は感じない。
 鈴木 就職活動で県外、県内とも採用試験を受けるつもり。結果次第でどちらもあり得る。ただ、県外に1回出ちゃうと、その土地の良さを知って戻ってこないかもしれない。静岡は交通の便が良く、実家には日帰りでも帰れるので。
 小長谷 受験で受かった大学が県内だったので、静岡にいる運命なのかなと。言葉で表現できないが、静岡の空気感が好き。名古屋や東京から新幹線で静岡に帰ってきてホームを降りると、めちゃくちゃ安心を感じる。

 Q 20~30年後の静岡県は、現在と比べてどんな社会になっていると思うか。
 鈴木 ゼミで防災を学んでいるが、10年後ぐらいには南海トラフ地震が起きているかもしれない。関東から四国までの太平洋沿岸が全て被災し、ぐちゃぐちゃになった都市部がようやく復旧段階に入っているころではないか。多くの会社は業務を継続できず、大量の失業者が出ているのでは。
 植田 南海トラフ地震が起きた後、静岡の基盤となる産業は何だろう?
 赤松 人がいる限り自動車は絶対になくならないので、自動車関連産業の基盤は一番早く復旧すると思う。それとインフラ関連の事業はすぐに再開するはず。
 小長谷 能登半島地震の例では、道路や鉄道などのインフラ復旧が優先され、その後は観光支援が行われた。店や商業施設で人の交流が再開することで徐々に復旧が進んでいくのでは。
 白土 静岡じゃなくても、日本はどこに住んでいても災害のリスクがある。災害が起きた時に困らないよう、今住んでいる地域で、人との結びつきが強い状態にしておくことが大事だ。

県民の声を聴く人 期待  Q 立候補予定者の政策や訴えを見聞きして、期待や興味を抱いた点は。
 小長谷 個人的には浜松の新野球場が屋外型や多目的ドーム型など三つの案のうち、どれになるのか興味がある。多額の税金が投じられる事業だし、県内にドーム球場ができるのか、今後の議論に注目したい。
 鈴木 やはり南海トラフ地震にどう備えるか。新しい住まいを選ぶ時、津波浸水想定区域など避難を要する場所に住まないよう啓発をしたり、最低1カ月は在宅避難できるだけの備蓄を呼びかけたり。県民に基礎知識を広めてほしい。
 植田 告示前のせいか、それぞれの立候補予定者が何をやりたいのか具体策が見えない。政策を実現すると僕たちの暮らしがどう変わるのか。メリットとデメリットの両方が知りたい。
 赤松 観光は元気の源なので、人と人のつながりを拡大するような振興策に期待したい。また、年金だけで生活が苦しい高齢者も安心して暮らせるよう、いつでも働けるアルバイト先の紹介窓口があるといい。
 白土 自分が大学生なので、大学や学生関連の施策に期待したい。自分たちにも目を向けられていると感じられればうれしい。

 Q 次の知事に期待するリーダー像とは。
 赤松 物事をずるずる引き延ばさず、きっぱりと決断する力がある人。それと県民の声をしっかり聴いてくれる人。川勝知事も最初は聴いてくれたはずだが次第にそれが薄れたと思う。
 白土 ウイットに富んでいて、堅すぎず、発言を聞きたくなるような人。自分たちと年齢が近い方が、身近に感じられる気がする。
 小長谷 僕は性別とか年齢は関係なく、「自分が静岡を変える」「静岡のために」といった気概を持った人に知事になってほしい。
 植田 県民の声に耳を傾けてくれることが第一。独自の政策を思いつき、何かを創造していくポジティブな人がいい。「県民に近い政治」を目指してほしい。
 鈴木 市民感覚を持った人。フットワークが軽く、災害の後でも現場に来て市民の声を聴いてくれる人。そういう姿勢を行動で表してくれる人だとうれしい。

 Q 若者の投票率や選挙への関心を高めるには、どんな取り組みが有効か。
 赤松 候補者もメディアももっと政策を分かりやすくかみ砕いて説明するべきだ。マイナンバーカードと連携させてスマートフォンで投票できるようにしたり、コンビニで投票できるようにしたりするのもいい。
 白土 いくら投票しやすくなっても、選挙に興味がなければ投票しないと思う。畑を耕すような作業だが、地道に主権者教育を続け市民意識を育むしかない。
 小長谷 子どもの時に親に連れられて投票所に行った人は投票率が高いとデータで示されている。小中高生への主権者教育は大事。
 鈴木 政治家は汚職とか不適切発言とか、悪い部分ばかり目立っている。「自分はこんな政治活動に取り組んでいる」といった良い部分をもっと見せるべきだ。
 植田 個々の政策がなぜ県民にとって重要で、生活がどう変わりどんな影響があるのか、分かりやすく伝える工夫が必要だと思う。

静岡文化芸術大/植田勝也さん photo03  うえだ・しょうや 静岡文化芸術大文化政策学部4年。ゼミで地域社会学を学ぶ。牧之原市在住。21歳。

静岡県立大/白土優羽さん photo03  しらつち・ゆう 静岡県立大国際関係学部4年。ゼミでは中東地域を学ぶ。静岡市清水区在住。21歳。

日本大/赤松優さん photo03  あかまつ・ゆう 日本大国際関係学部3年。ゼミで観光を学ぶ。函南町在住。20歳。

静岡大/小長谷笙さん photo03   こながや・しょう 静岡大人文社会科学部2年。ゼミで政治学を学ぶ。県中部在住。19歳。

常葉大/鈴木幸子さん photo03  すずき・さちこ 常葉大社会環境学部4年。ゼミで防災を学ぶ。磐田市在住。21歳。

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