大村慎一氏、静岡知事選出馬表明 主な発言
静岡県知事選への立候補を表明した元総務官僚の大村慎一氏(60)の8日の主な発言は次の通り。
【取材冒頭】
大村慎一と言います。静岡県出身で、総務省に入り、長い間地方行政、国、都道府県市町村で仕事をしてきた。古里の静岡県でも総務部長と副知事の仕事をした。
今の静岡県政について(川勝平太)知事の急な辞職があり、混乱も起き、対立と分断があるように思っている。
私自身は何の政治経験もない、ただの1人の行政マン。一市民だと思っている。そういう中で、長年培ってきた地方行政での経験を、この状況での県政の立て直しや再構築に役に立てるのではないかと考えた。私が取り組みたいのは、県政の立て直し、その一点。何の政治経験もないが、東部、中部、西部の地域の関係を超えてオール静岡県、オール県民で、県も市町村も対話を増やしながら、この静岡県という私の愛する古里をもう一度、豊かに、未来のある静岡県にしていきたい。この思いを県民一人一人に訴えていきたい。
特定の会派や特定の地域ではなくて、すべての静岡県民の力をいただき、この混迷する県政の立て直しに全力で取り組んでいきたい。みなさんの力をいただきたい。切に願っている。
【報道陣との質疑応答】
―出馬固めた大きな理由は。
きょうは静岡ガスの岩崎(清悟・元)会長に来てもらっている。(県内の)経済界の皆さんから「県政を立て直すために頑張れ」と言葉をいただいたのが一つの大きなきっかけ。経済界だけでなく、私が知っている県民の皆さまとの会話の中で、頑張ってくれよという話をいただいた。そういうことが大きな背景。
ー正式に出馬表明したということでいいのか。
出馬の意向は固めているので、そうご理解いただいて結構。目指す県政像などは別途、きちんと会見を開いて説明したい。きょうは立候補の気持ちを固めたということについて説明したいと思った。
ー具体的にどう県政を立て直すのか。
県には諸課題がある。もちろんリニア問題。それから防災対策。能登半島地震があったが、静岡県も、私が子どもの頃からいつ災害が起きてもおかしくない県。経済も、世界各国を見れば経済発展する強い国が出ている中で昔と比べてもっと元気になっていいんじゃないか。
県と市町の対話、一体化ということでもいろいろな課題がある。東・中・西の意識の違いもかなり顕在化している。そういった課題、対立や分断ということよりも、これからは未来に目を向けて一緒に頑張っていく。そして、静岡県をさらに豊かに発展させていきたいという思いだ。
ーリニア問題に対するスタンスは。
改めて会見で話すが、まずは県内での、または関係者との十分な対話が必要。さまざまな取り組みを県、国、JRでしてもらっている。自分なりにきちんと確認することが必要だと思っている。
ー経済界からの出馬の後押しというのはいつごろの話か。
私も静岡県にいたので、以前から、いろいろな話をいろいろな人から伺っていた。直接的には、川勝知事が辞めるという話をしてから声をいただいた。
ー各会派へ支援の要請は。
私は、政治は素人で、まったくどうなるかわからない。ただ、オール県民で愚直に県政を立て直していきたいという思いを説明して、幅広く支援をもらえればありがたい。組織も何もない人間なので、県民一人一人のいろいろな皆さまの支援をこれからいただき、皆さまと一緒に力を付けて、県政を頑張っていきたい。
ー浜松の財界にも支援を求めるのか。
もちろん。財界は西部、中部、東部、伊豆のすべてが静岡県の発展には重要。浜松には重要な産業基盤がある。東部には移住(政策)があるし、伊豆にも観光がある。個性をすべて融合し、県が発展していく。静岡は人口360万人の大きな県だが、国際社会がどんどん変化する中で、世界全体からみれば、一つの小さなエリアでしかない。その中で、対立したり東だ西だ中部だと言っていたりする余裕はない。日本はこの10年、難しい時代に入ってくる。そのときに、まず身内というか、県内がしっかり固まっていかなければ、とてもこれからの国際社会を日本も静岡も生きていけない。
ー知事選の一番の争点は何だと思うか。
県政の立て直しを目指している。それを担えるのは誰がふさわしいかということ。私は地方行政にずっと携わってきた。静岡県にもいた。都道府県市町村の行政には精通していると思っている。今の行政課題がたくさんある静岡県の中で、私の力が役に立てると思っている。仕事をしたい。仕事をしたいという気持ちを爆発しそう(なくらい)に持っている。県民のために身を賭して頑張りたい。
ー川勝県政15年について引き継がないのか。
行政というのは、いいところもあれば悪いところもある。県政の立て直しと言ったのは、別の言葉で言えば、県政の再構築ということ。はやりの言葉でいえばリストラクチャリング。生かせるところは生かして、再構築して立て直していくということが私の目標。
ー県政で最も課題と感じている点は。
皆さんはリニアと言うのだろうけど、私が持っている課題は、一つは防災対策。能登半島地震を見れば分かるように、防災対策はものすごく大きな課題。経済も、とにかく発展させていくこと。楽しい県であってほしい。教育もよくしていかなきゃいけない。整理して会見で説明したい。
ー会見の日取りは。
未定。そんなに遠くない日に設定したい。
ー副知事としての経験をどう生かすか。
副知事はいろいろなタイプがあるが、基本的には調整をすごくしてきた。物事を決めるのには調整が必要。県議会とも財界とも農業界とも教育界とも対話をしながらものごとを進めてきた経験がある。そういう調整とか対話することが得意かなと思う。
ー候補者調整の結果、立候補を取り下げる可能性はないのか。
愚直な人間。1回言ったことを引っ込めることは苦手。必要な修正はするが、決意を固めて出ているので、これはもう頑張る。自分が対立をあおる気は全くないが、選挙なのできっちり訴えていきたい。
ー出馬意向について川勝知事には伝えたのか。
いや。これから行こうかなと。これから(県議会の)会派を回って、川勝知事にもあいさつしたい。
ー知事になったら総務省でのどういった経験が生かせるのか。
総務省はいろいろな分野が入っている仕事だが、私は主に都道府県市町村の地方行政の現場と国を行き来しながら、制度設計、地域活性化、新型コロナ対策に関わってきた。一番生かせるのは、地方行政を巡る地方と国での経験ということだと思う。
ー川勝県政の評価は。
川勝知事が1期目のときに副知事をした。川勝知事は、新しい県政をつくっていくんだということでものすごく燃えていた。長い年月の中でいろいろなことがあり、今の状況があると思うが、類いまれな発信力と学識は素晴らしいと思っている。そこと行政の歯車という部分で、現時点では課題はあるのだと思う。県政は現状、立て直しの必要がある状態。そういう意味では、発信力と実務の行政がうまく融合できればよかった。