テーマ : 静岡県知事選2024

独自の言葉 魅力そして舌禍 「命の水を守る」「コシヒカリしかない」 川勝平太知事

 川勝平太知事は、用意された文章を読み上げずに自分の言葉で語りかけるスタイルを貫いた。力強く発信される言葉は時に県民の心を魅了したが、たびたび舌禍を招いた。「学者知事」らしく和歌や古典をそらんじてみせることも。印象に残る発言を振り返る。
 「川勝節」の真骨頂は選挙演説だ。2021年の知事選では「命の水を守る」と声を張り上げ、リニア中央新幹線整備に伴う大井川水問題の重要性を訴えて自民党推薦候補に圧勝した。17年の知事選では当時の静岡市長との関係改善を念頭に「仏の川勝になる」と繰り返した。
 一方、21年10月には参院静岡選挙区補欠選挙の応援演説で「あちらはコシヒカリしかない」と発言。御殿場市をやゆしたとして県内外で批判が巻き起こり、県議会で辞職勧告決議が可決された。「来年は生まれ変わった人間になろうと富士山に誓った」。反省の言葉も独特の言い回しだった。
 歯に衣(きぬ)着せぬ発言は、時に舌禍へとエスカレートした。19年12月には、県の施設整備構想の見直しを求めた自民会派を念頭に「やくざの集団、ごろつき」などと発言。20年10月には当時の菅義偉首相を「教養レベルが図らずも露見した」とやゆするなど、問題発言と謝罪・撤回を繰り返した。
 1日の県の新規採用職員に対する訓示では「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたりとか、ものを作ったりとかということと違って、基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」と述べ、職業差別との批判が集中。辞職に追い込まれた。
 強気の発言は本県の魅力発信にも一役買った。県産農林水産物を芸術品になぞらえて「農芸品」と命名し、機会あるごとに品質の高さを強調。環太平洋連携協定(TPP)に反対する首長が多い中、攻めの農業を打ち出して反響を呼んだ。「ふじのくに」「茶の都」「理想郷」「世界クラス」といったフレーズも多用し、アピールに努めた。

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