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⚽9季ぶり古巣復帰 対人能力健在33歳 清水エスパルスの壁DF吉田豊【しずスポ】

 J2清水のDF吉田豊(33)が、プロ16年目を迎えた今季も健在だ。9季ぶりに復帰した古巣で、サイドバックの主力を張る。強みとする対人守備能力をいかんなく発揮し、チームを支えている。

栃木戦の前半、栃木・矢野(左)と競り合う清水・吉田=アイスタ日本平(写真部・二神亨)
栃木戦の前半、栃木・矢野(左)と競り合う清水・吉田=アイスタ日本平(写真部・二神亨)


守備に魅了された“いぶし銀” もっと「完璧に」プロ16年目 進化は続く
 前進する相手との間合いを計り、隙を見て低い重心から体を入れ、当たりの強さでボールを奪い取る-。「完璧に近づけたい」と本人はさらなる高みを求めるが、対戦相手から嫌がられる、吉田の真骨頂だ。
 高校時代はドリブル自慢のサイドアタッカー。世代別代表でサイドバックとして起用されたことを契機に、プロ生活を始めた甲府でも定位置となった。ただ、「前に前に」という推進力が売りの攻撃的なスタイルだった。
 今の持ち味へと変化していったのは、主力の自覚が芽生えるようになったプロ2、3年目から。「まずは完璧に守備を抑える。その上で前に出て結果を出す」。チームの勝利に貢献するために求められるプレーへと、自らを適応させていった。
 2016年に鳥栖で出会ったフィッカデンティ監督の存在も大きかった。「1対1は全てバチバチ(の体のぶつかり)で勝つだけではないと教えてもらった」。守備に美学を持つイタリア人指揮官の下、体の向きから細かくたたき込まれ、頭脳も駆使しながら明確な武器へと昇華させた。
 今では守備者としての面白さに魅了されている。醍醐味(だいごみ)は、難しい局面でも相手を止め、仲間のミスを帳消しにするプレーだ。数的不利の状況は見せどころ。「いかに一歩、半歩を明確にしながら球に寄せて奪い取れるか。取れればしびれ上がる」と笑う。
 年を重ねて変化したことがもう一つある。「若い頃は自分、自分だったが、今は人に喜んでもらうことに価値を覚えている」。J1復帰を目指す古巣を救い、関わる人たちを笑顔にすべく、いぶし銀のプレーで敵の前に立ちはだかる。

 よしだ・ゆたか 1990年2月17日生まれ。富士宮市出身。静岡学園高から2008年に甲府入り。12年に清水に移籍し、3季所属した。15年から鳥栖、19年からは名古屋に在籍。今季、9年ぶりに清水に戻った。プロ2年目から13季連続でリーグ戦20試合以上に出場。今年2月、Jリーグ通算400試合出場を達成した。
 

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