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⚽清水「J2圧倒」昇格展望に狂い “失った7試合”の代償【失意の名門 J1復帰ならず㊤】

 清水のJ1昇格がついえた2日のプレーオフ決勝の試合後。「自分に責任があって、ただただ力がなかった。それに尽きる」。今季途中からチームを率いる秋葉忠宏監督はそう言って自らを責めた。

開幕7戦未勝利となった甲府戦の試合後、肩を落として引き上げる清水の選手たち=4月、山梨・JITス(写真部・小糸恵介)
開幕7戦未勝利となった甲府戦の試合後、肩を落として引き上げる清水の選手たち=4月、山梨・JITス(写真部・小糸恵介)

 ただ、そもそもクラブはプレーオフからJ1に滑り込む青写真など全く描いていなかった。新体制会見で示した5カ年計画「ビジョン2027」に示した今季の目標は「J2チャンピオン」。J2を圧倒し、4年後のJ1優勝という壮大な目標に向けた“助走”の1年とするはずだった。
 その展望が大きく狂ったのが、スタートでのつまずき。開幕から7試合勝てず、J2の舞台で屈辱のクラブワーストを更新した。J2が42試合制となった2012年以降、序盤の7戦で1勝もできないチームが昇格したケースは過去になく、早々に「前例のない挑戦」を強いられた。
 開幕から7試合の指揮を執ったリカルド前監督は、昨季終盤も7戦未勝利とチームを上向かせることができずにJ2降格という結末を迎えた。昨季の最終戦の直前には練習の指揮を途中で投げ出す一幕もあり、選手との間には溝も生じていた。
 にもかかわらず、クラブは続投を決めた。関係者によると、内部での十分な議論も行わずに編成トップの大熊清ゼネラルマネジャー(GM)の主導で方向付けられたという。前監督を招聘(しょうへい)した大熊GMは「得点力は上がっている」と評価が先行したが、今季の開幕から7試合で4得点はリーグ最少タイ。見込み違いは明らかだった。
 後を託された秋葉監督は「清水の選手の能力はこんなもんじゃない」と積極性を引き出し、リーグ戦35試合で69の勝ち点を重ねた。8節からの積み上げで見れば優勝した町田を上回り最多。“失った7試合”の代償は、あまりに大きかった。
 クラブ史上最速だった開幕7戦目での監督交代劇は、続投を最終決定したトップの見通しの甘さを象徴する。ずさんな判断と意思決定の末に昇格を逃し、前監督体制の構築にかかった数億円とも言われる費用だけがむなしく支出に刻まれた。
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 J2清水は昇格プレーオフでの敗退によって来季のJ1復帰を逃し、クラブ史上初の2年連続J2が決まった。復権を願うサポーターを裏切る結果となった1年を振り返る。
 <続きを読む>⚽偏る編成、若手は埋もれ 育成型クラブ 看板倒れ【失意の名門 清水J1復帰ならず㊥】

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