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電気配線の損傷が原因か 輪島大火災、焼損240棟【能登地震】

 総務省消防庁は15日、能登半島地震で発生した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺の大火災は、屋内の電気配線が地震で傷つきショートするなど、電気に起因した可能性があるとの見方を示した。住宅など約240棟を焼損し、焼失面積は東京ドームよりやや広い約4万9千平方メートルとしている。防火性能が低い古い木造の建物が密集し、急速に燃え広がったと分析している。

能登半島地震と直後の大火に見舞われ、ほぼ全域が焼失した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺=1月
能登半島地震と直後の大火に見舞われ、ほぼ全域が焼失した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺=1月
石川・輪島朝市の火災による焼失範囲
石川・輪島朝市の火災による焼失範囲
能登半島地震と直後の大火に見舞われ、ほぼ全域が焼失した石川県輪島市の「輪島朝市」周辺=1月
石川・輪島朝市の火災による焼失範囲

 電気火災は阪神大震災や東日本大震災でも火災原因の6~7割を占めた。南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起きると多数の犠牲者が出ると懸念され、政府は揺れを感知して電気を遮断する「感震ブレーカー」の普及などの対策を進める。
 総務省消防庁消防研究センターが15日公表した原因調査結果の速報によると、火元とみられる輪島市河井町の住宅で、焼け跡から見つかった電気配線に、溶けた痕跡が認められた。この住宅では石油ストーブなど火気を扱う器具を使用していなかったが、テレビやエアコンといった電気製品は使っていた。
 同センターは、地震の影響で傷ついた配線にショートや接触不良が生じた可能性があるとみている。詳細な原因は特定できておらず、調査を続ける。
 調査結果によると、火災は1月1日午後5時23分ごろに通報があり、6日午後5時10分に鎮火した。消防庁は消火活動が難航した要因として、がれきにふさがれて防火水槽が一部使えなかったり、断水で消火栓が使えなかったりしたことを挙げた。
 焼失範囲については、火元とみられる地点から北側に広く延焼した。東や南方向にも燃え広がったが、一部は消火活動によって阻止できたとみられる。放水などの消防活動がなかった場合、2倍以上の面積が焼失した可能性があるとの検証結果も示した。
 地震時の電気火災 地震の揺れで電気ストーブやこんろなどの機器が転倒したり、電源コードや配線が損傷したりすることに起因する火災。ほかに白熱灯の落下、コンセントに水がかかるといった原因がある。停電後に電気が復旧し(1)ストーブから近くの可燃物に着火(2)損傷した配線に火花が発生し引火―するなどの「通電火災」もある。地震後の対策として、ブレーカーを落としたり、電源プラグをコンセントから抜いたりするほか、機器を再び使用する場合は異常がないかどうか確認する必要がある。

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