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小林製薬 工場立ち入り検査 紅こうじサプリ原料製造 健康被害拡大で厚労省、大阪市

 小林製薬の「紅こうじ」を使ったサプリメントを巡る健康被害問題で、厚生労働省と大阪市は30日、食品衛生法に基づき、原料を製造していた同社の大阪工場(大阪市淀川区)を立ち入り検査した。工場は昨年12月に閉鎖されたが、サプリを摂取したとみられる死亡例が計5人に上り、被害が拡大する状況を踏まえ、原料の製造過程や衛生管理体制を確認。原因究明を本格化させる。
 厚労省と小林製薬は29日、健康被害のあった製品のロットを分析した結果、「想定しない物質」として青カビ由来の天然化合物「プベルル酸」を検出したと明らかにした。大阪工場で昨年4~10月に製造された原料に含まれていた。検査はプベルル酸が工場で混入したり生成されたりした可能性を踏まえた。
 和歌山県にある移転先の工場も、厚労省と県が31日に検査する予定。
 工場には午前11時前、市と厚労省の担当者計十数人が入った。検査は約4時間半実施。現地で対応した小林製薬の山下健司製造本部長は記者団に「多大なるご迷惑とご不安をおかけし、誠に申し訳ありません」と謝罪した一方、検査の詳細は明らかにしなかった。
 大阪市健康局は取材に対し、立ち入り検査の結果は社会的な関心が高いとして「全てを公表することはできないが、何らかの形で情報提供していきたい。内容を精査し、スピード感を持って対応したい」と述べた。
 本社のある大阪市は27日、自主回収対象3商品の回収を命じた。横山英幸市長を本部長とする対策本部を週明けに設置し、商品の回収や健康相談への対応を急ぐ構えだ。横山氏は本社への立ち入りについても「可能性は十分ある」としている。
 小林製薬は29日の記者会見で、健康被害の原因としてプベルル酸が影響した可能性があると説明。工場をはじめとする製造ラインを点検する方針を示している。
 市が回収を命じた3商品のうち、同社は昨年9月以降に製造された「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」の摂取者に健康被害が偏っていると厚労省に報告した。累計約100万個を販売しており、回収に数カ月かかると見込まれる。
 サプリ摂取では29日時点で114人が入院し、体調不良による通院者や通院希望者が約680人に上ると判明している。
 厚労省は29日、小林製薬が紅こうじ原料を卸している52社の自主点検の結果、回収命令が出た小林製薬の3製品と1日摂取目安量が同量以上の製品や、過去3年間に医師から健康被害が報告された製品はなかったと明らかにした。原料を使用している173社の点検は継続中としている。

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