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腎障害 別サプリでも 3月末時点 紅こうじ入院157人に

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」成分を含むサプリメントを巡り、日本腎臓学会は1日、独自調査で腎障害を確認した47人の分析結果を公表した。46人は「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」を服用。残る1人は「ナイシヘルプ+コレステロール」を服用し、この商品の健康被害判明は初めてとみられる。初診日は昨年11月以降で、約8割が今年1月以降に受診していた。40~69歳が9割を占め、死亡例の報告はなかった。

小林製薬の「ナイシヘルプ+コレステロール」
小林製薬の「ナイシヘルプ+コレステロール」
日本腎臓学会の分析のポイント
日本腎臓学会の分析のポイント
小林製薬の「ナイシヘルプ+コレステロール」
日本腎臓学会の分析のポイント

 厚生労働省は1日、「紅こうじ」サプリメントに関する健康被害の入院者が、3月31日時点で157人になったと同社から報告を受けたと明らかにした。同社に寄せられた相談件数は約2万2千件となった。
 同省は、昨年9月以降に製造されたコレステヘルプを摂取した人に健康被害が偏っているとの報告を同社から受けたと明らかにしていた。ナイシヘルプ+コレステロールはコレステヘルプとともに自主回収対象の一つ。大阪市によると、現時点で北陸地方などで約40個販売されたことが確認されている。
 47人のうち66%が女性。初診時の主な症状は半数以上が倦怠(けんたい)感や食欲不振、尿の異常、腎機能障害だった。腎生検をしたのは34人。主に尿細管間質性腎炎や尿細管壊死(えし)、急性尿細管障害と診断された。尿細管は薬剤の影響を受けやすいとされる。
 治療は、4分の1がステロイド治療、4分の3は服用の中止のみだった。透析が必要だったのは2人で、うち1人は回復。もう1人も主治医は「(サプリとの)関連性は低い」とコメントしている。
 学会副理事長の猪阪善隆大阪大教授は「健康被害の病態をある程度把握できた。服用の中止のみで改善する例も多いため、過度に心配せず服用中止の上、早めに医療機関を受診してほしい」と話している。
 学会は、今年3月27日に全国の会員医師らを対象にインターネット調査を開始。サプリ摂取後に腎障害を発症したとして同31日までに報告があった47人を分析した。回答期限を今月末までとし、調査を続ける。
工場 適正製造認証なし 第三者機関が取得推奨  小林製薬の「紅こうじ」サプリメントを巡る健康被害の問題で、原料を製造していた大阪工場(昨年12月閉鎖)が、品質・衛生管理に関する指針「GMP(適正製造規範)」の認証を取得していなかったことが1日までに分かった。第三者機関は取得を推奨していた。
 健康被害が多く寄せられているのは大阪工場で昨年4~10月に製造した原料を使った製品で、小林製薬が調べた結果、想定してない青カビ由来の「プベルル酸」が検出された。厚生労働省と大阪市は立ち入り検査の内容も踏まえ、工場の運営状況を詳しく調べている。
 健康食品に関するGMPには、作業内容や設備洗浄、管理体制といった項目がある。認証機関の日本健康・栄養食品協会によると、工場ごとに審査しており、取得を推奨している。厚労省も2005年に自治体向けに出した通知で、製品工場の認証取得を努力義務としている。
 小林製薬は3月29日の記者会見で、認証を受けていなかったことを明らかにした上で、担当者が「それを目指したものづくりは確認しているが、(認証取得の)アクションは起こしていなかった」と説明した。
 小林製薬によると、大阪工場は敷地が手狭なことや建物の老朽化のため昨年12月で閉鎖。その後の製造は、和歌山県紀の川市の子会社梅丹本舗の工場に引き継いだ。
 大阪工場では、米に紅こうじ菌を植菌して培養するなどして製品原料を生産。岐阜県の協力会社の工場で製品の「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」を製造していた。

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