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牧之原の悲劇「自分事に」 傍聴者、再発防止願う【園児置き去り死初公判】

 誰か一人でも確認していれば救えた命では―。当時3歳の園児だった河本千奈ちゃんが送迎バスに置き去りにされ死亡した事件で、静岡地裁で23日に開かれた初公判を傍聴した人たちからは、園の安全意識の希薄さを悔やんだり、同様の事件が繰り返されないよう願ったりする声が聞かれた。

開廷を前に整理券を求める傍聴希望者ら=23日午前、静岡市葵区の静岡地裁
開廷を前に整理券を求める傍聴希望者ら=23日午前、静岡市葵区の静岡地裁


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 隣接する牧之原市で起きた事件に「人ごととは思えない」と初めて裁判傍聴に足を運んだ菊川市の主婦堀祐華さん(43)は「当時の状況を聞き、思い込みが重大な結果を招いてしまうと痛感した。(バスを運転していた増田被告が)同乗の補助員に確認の言葉を一言かければよかったのに、ただ後ろを振り向けばよかったのに、と思ってしまう」と口にした。増田被告が廃園について口を閉ざしたことも引っかかったという。
 担任だった被告(48)ら職員も欠席や遅刻の連絡がなかったのに保護者への確認を怠ったとされる。静岡市駿河区の無職男性(75)は「ヒューマンエラーが重なった。一つでもチェックが働いていれば事件を防げたのではないか」と語った。
 福岡や滋賀で園児の置き去りが発生していたことを知りながら、増田被告は安全確保マニュアルなどを作成していなかった。静岡市内の保育園で働く男性保育士(38)は「もし作成していても園全体で共有しなければ意味がない」と指摘。この事件を「自分事として考えたい」と受け止めた。
 同市葵区の無職吉沢健さん(74)は「(バス車内で千奈ちゃんが)相当暑かったんだろうと思うと胸が痛かった」と改めて悼んだ。
 静岡地裁によると、傍聴席は抽選となり、28席に対して整理券を67枚配った。

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