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未知の成分?微生物?菌の株が変化? 紅こうじ被害究明 原因物質特定が鍵 サプリ特有の問題点も

 全国で健康被害が相次いだ小林製薬の「紅こうじ」の一部からは「カビ由来の未知の成分」が検出され、腎疾患につながった可能性がある。専門家からは「製造過程で微生物などが混入し、有害物質が発生した可能性も否定できない」との見方が出ており、この成分の特定が原因究明の鍵となりそうだ。
 紅こうじは、血中コレステロール値を下げる効果が期待できるとしてサプリメントとして販売されている。また食品の着色や風味付けなど幅広い用途で使われている。ただ「シトリニン」というカビ毒をつくることがあり、欧州では使用を制限する動きもある。一方、小林製薬の紅こうじからは、問題発覚後もシトリニンは検出されていない。
 唐木英明・東京大名誉教授(薬理学)は「工場内は通常、管理が徹底されており、雑菌などが入ることはない」と指摘する。「通常の安全管理では予想していなかったことが起こった」
 総合内科専門医の柴田玲・名古屋大特任教授は「原因物質が特定されない限り因果関係を明らかにするのは難しい」と強調。その上で、製造過程で①異物として未知の成分が混入②未知の成分をつくる微生物が混入③紅こうじ菌の株が未知の成分を発生させる別の株に変化-といった可能性を挙げる。
 現状では一部の製造期間の製品に被害が集中しており「他の紅こうじ原料の製品を摂取しても、過度に不安になる必要はない」と話す。ただ「尿の出が悪かったり、手足がむくんだりしたら腎機能が悪化している兆候。気になる症状があれば、医療機関に相談して」と呼びかけた。
 「普通の食品を何日も食べ続けることはないが、サプリメントは成分が濃縮されており、有害物質が含まれていると一気に摂取してしまう」と問題点を挙げるのは、梅垣敬三・静岡県立大客員教授(食品安全学)。医薬品は、医師らが副作用を確認しながら処方するが、サプリメントは消費者判断に委ねられることも課題だという。
ノエビアなど自主回収  小林製薬の紅こうじを使ったサプリメントを摂取した人に健康被害が出ている問題で、紅こうじを含む他の商品についても自主回収が26日までに各地で相次いだ。化粧品会社ノエビア(神戸市)のほか、岡山の2社や香川の製薬会社もサプリメントやみそなどの回収を進めた。いずれも現時点では健康被害は確認されていない。これまでに共同通信の取材に対して、約30社が回収を明らかにした。

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