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「プベルル酸」毒性も報告 製造時、混入可能性? 紅こうじ問題

 小林製薬の「紅こうじ」を使ったサプリメントの原料から青カビがつくる天然の化合物「プベルル酸」が検出された。マウスや人の細胞で毒性も報告されており健康被害の原因となった恐れがある。ただ紅こうじ菌と青カビは種類が異なり、なぜ検出されたのかは不明。専門家は「製造工程で青カビが混入した可能性を含め調べる必要がある」と指摘する。

立ち入り検査のため小林製薬の大阪工場に入る厚労省の担当者ら=30日午前、大阪市
立ち入り検査のため小林製薬の大阪工場に入る厚労省の担当者ら=30日午前、大阪市

 厚生労働省は29日「プベルル酸がどういう経路で入ってきたかは全く分からない」と説明した。プベルル酸が健康被害の原因となった可能性を「一定程度あるが、網羅的に検討していく」とし、他の物質も含めて調べる方針だ。
 ある微生物学の専門家は「きちんとした製造工程であれば、紅こうじ菌を培養しているところに青カビが混入することはない」と話す。横尾隆・東京慈恵医大教授(腎臓・高血圧内科)も「紅こうじ菌はプベルル酸をつくらないとみられる。青カビが混入した可能性があり、製造工程を問題視するべきだろう」と衛生管理に問題があったとの見方を示す。
 今回の健康被害では腎疾患の訴えが多い。青カビ由来のペニシリンといった抗生物質は、腎臓に毒性があることが多い一方で、横尾教授によると、プベルル酸の腎臓への影響に関する報告は国内外でも見当たらない。
 プベルル酸は1932年に英国の大学の研究者らが初めて報告した。
小林製薬工場 立ち入り、4時間半  「紅こうじ」を使ったサプリメントで健康被害が相次ぐ小林製薬のかつての原料工場(大阪市淀川区)には30日午前10時50分ごろ、ワゴン車と乗用車に乗った大阪市職員5人が検査のため到着した。続いて、10人ほどのスーツ姿の厚生労働省職員が無言で敷地内に入った。
 集まった30人以上の報道陣を前に、小林製薬の担当者は「誠実に対応したい。内容についてはお話しできない」と告げた。門扉は固く閉ざされ、工場内部の様子は確認できなかった。
 夕方、検査を終えた職員らはそのままタクシーと公用車に乗り込み、検査は約4時間半に及んだ。同社の山下健司製造本部長は詳細については「差し控える」と話し、建物内へと立ち去った。

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