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小林製薬 紅こうじ サプリ向け 菌発酵期間4倍 食品用より衛生難度高く

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントによる健康被害が疑われる問題を巡り、同社がサプリ原料となる紅こうじ菌の発酵で、食品用に比べて4倍の時間をかけていたことが4日、同社関係者への取材で分かった。健康効果があるとされる成分の濃度を高めるため、サプリ用は最長56日間発酵させていた。
 紅こうじ菌の発酵には細かい温度管理が必要とされる。琉球大の橘信二郎准教授(微生物利用学)は「発酵の時間が長いほど、汚染リスクが高くなる」と指摘。サプリの成分向上を狙った長期間の発酵により、製造工程で衛生管理の難度が高まったとみられる。健康被害の原因物質と疑われる青カビ由来の化合物「プベルル酸」が、昨年9月の製品ロットの原料から最も多く検出されていたことも、同社が厚生労働省に提出していた資料で判明した。
 紅こうじは、蒸した米に紅こうじ菌を混ぜて発酵させる。特徴的な赤い色は発酵で生まれ、古くから食品に利用されてきた。悪玉コレステロール値を下げるとされる「モナコリンK」といった機能性成分が注目され、近年は健康食品としての利用も広がった。
 発酵期間は用途によって異なり、小林製薬は食品用に2週間程度かけていた。長く発酵するほど成分が濃くなるため、サプリ向けは期間が長かった。「プベルル酸」は、発酵を含む紅こうじ原料の製造工程で混入したり、生成されたりしたとみられる。サプリ用の一部で検出されたが、発酵期間が短い食品用では検出されなかった。
 小林製薬は大阪市淀川区の大阪工場で、2023年に18・5トンの紅こうじ原料を製造した。サプリ向けは9・3トンで、うち2・4トンを問題の「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」など自社製品に、残りの6・9トンを他社のサプリ用に販売した。

 紅こうじ 穀物を発酵させるカビの一種であるこうじ菌のうち、紅こうじ菌を米に混ぜて発酵させたもの。赤色の色素を特徴とし、天然の着色料として食品メーカーや酒造会社などが商品に混ぜて使用している。中国や台湾などでは消化や血流改善など健康維持に役立つと古くから親しまれ、酒の製造や肉の加工に用いられてきた。みそやしょうゆに使われる黄こうじなどよりも、長時間発酵させる必要があるとされている。

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