テーマ : 事件事故しずおか

【牧之原・園児バス置き去り死亡事件 第2回公判】被告人質問の主なやり取り

 牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で2022年9月、園児の河本千奈ちゃん=当時(3)=が送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡した事件の第2回公判で、元クラス担任の被告(48)と前園長の増田立義被告(74)の被告人質問の主なやり取りは次の通り。
 <元クラス担任>
 【弁護人】
 ―事件を振り返り、どうして起きたと思うか。
 「私が報告、連絡することを怠ってしまったから。出欠の確認、職員での共有、保護者への連絡。はっきりとしたマニュアルはなかったが、担任がすべきだと思う」
 ―千奈ちゃんについてはどう思っていたのか。
 「もしかしたらお休みかもしれないというのが頭をよぎってしまった」
 ー所在を確認できない事情はあったのか。
 「保育内容が急に変わり、流れが違うことがあった。当初予定になかった絵の具の活動をやることになった。忙しかった。補助の先生(副担任、当時)と話し合う時間もないくらい」
 ー21年7月に福岡県であった同様の置き去り事件は知っていたか。
 「テレビのニュースで見て知っていた」
 ー福岡の事件を受け、マニュアルを作ったり話し合いをしたりしたか。
 「特になかった」
 ー今回の事件発生直後の自身の状況は。
 「まさかと思って頭が真っ白になった。他の先生と一緒に(千奈ちゃんの)心肺蘇生をした」
 ーどういう気持ちで日々を過ごしているか。
 「自分がいていいのか、死にたい気持ちと死んではいけないという気持ちの繰り返し。ちゃんと(事件と)向き合っていかなければいけない」
 【検察官】
 ―園児が〝本当はいるはずなのにいない〟という状態は、命に危険がある重大な事態という感覚はなかったのか。
 「その感覚がなかったので行動に移さなかったのだと思う」
 ―事件以前も登園している園児、登園していない園児を正確に把握していなかったのではないか。
 「把握はしてきている」
 ―千奈ちゃんが“いるはずなのにいない”状態より、忙しさへの対応を優先したのか。
 「自分の中では確認をしてくれていると思ってしまった点があり、活動準備を優先してしまった」
 【千奈ちゃんの父親】
 ー正直に答えてほしい。前園長と元乗務員が一番悪いと思うか。
 「思わない。私が連絡をしなかったミスのせいで起きたと思う」
 ー千奈がいないことに気付いたのは何回か。
 「5、6回はあったと思う」
 ー忙しい時は所在が分からない園児の確認をしない、というのが川崎幼稚園では常態化していたのではないか。
 「その点は、はっきりとは私は分からない」
 ー愛情を持って接していたら、運転手は園に着いたら車内の後ろを見て、担任は所在を確認をするのではないか。
 「その通りだと思う」
 ー前園長は千奈に気付いていなかった。あなたは異変に気付いていながら行動しなかった。あなたしか助けられる人はいなかったと思う。罪は重いと思うが。
 「私の責任だと思っているので、重いと思う」
 【裁判官】
 ー当日、運転手が前園長と知っていたか。
 「把握していなかった」
 ー全園児が登園した後に出欠を確認する作業は。
 「園全体では行っていなかった。各クラスごとに行っていたと思う」
 ー千奈ちゃんをお休みと考えたのはなぜか。
 「バスが到着し、いつも千奈ちゃんと一緒に乗っている別の子が降りていたので」
      ◇     
 <増田被告>
 【裁判官】
 ―バス車内の確認についてどう考えていたか。
 「職員がバスに同乗していた時は、職員が園児の人数確認をしていた。(乗務員が外部からの派遣になった後も)今まで通りやっていたと思ったが、事件後に正規の運転手から確認をしなければいけないと聞いて『そうだったんだ』と思った」
 ―正規の他に予備の運転手がいたのか。
 「3人いた。当日はたまたま皆乗れなかったので自分が代わりに乗った」
 ―過去にバスの運転を代わったことはあったか。
 「同じ年の5月に乗ったと思う。時間的余裕があったので車内を見て、忘れ物があったので職員室に持って行った」
 ―ドライブレコーダーの映像によると、あなたと乗務員が話している時に「あ、ケーキバスだ」と千奈ちゃんが声を上げている。子どもの声を聞いた記憶はあるか。
 「記憶にない」
 ―廃園に関して、あなたに権限はあるのか。
 「役職は終わっているので、ないと思う」

事件事故しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞