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島田のヘリ墜落で調査報告書 乱気流遭遇も機長が減速せず

 運輸安全委員会は30日、2020年12月に島田市大代の山中にヘリコプターが墜落し、男性機長=千葉県浦安市、当時(46)=が死亡した事故の調査報告書を公表した。乱気流に遭遇した際に機長が減速する操作をしなかったため、機体の姿勢が保てず操縦不能となり、墜落したと推定した。

島田市の山林に墜落したヘリコプターの機体=2021年1月(運輸安全委員会提供)
島田市の山林に墜落したヘリコプターの機体=2021年1月(運輸安全委員会提供)

 報告書によると、機体は米国製のロビンソン式R66型。事故は午後3時半ごろ発生し、最大速度の110ノットで飛行していたとみられる。乱気流に遭遇しても減速せず、翼と軸をつなぐ「スピンドル」という部品が軸に接触する「マスト・バンピング」と呼ばれる現象が発生し、機体が傾いた可能性が高いとした。本来は60~70ノットに減速する必要があったと指摘した。機長1人で搭乗していた。
 ヘリは三重県津市の伊勢湾ヘリポートを離陸し、横浜市内の場外離着陸場へ向けて飛行中に墜落した。場外離着陸場の駐機場所には夜間施設がなく、翌日も業務のあった機長は日没前に着陸する必要があったと推測。減速の判断をためらった可能性があるとした。
 機長が、航空運送事業の許可を得ていなかった事業者から運航を委託されていた点にも言及した。「悪天候下の飛行における出発の可否および飛行計画に関して、安全を最優先した運航判断を行う必要があった」と指摘した。
(東京支社・山下奈津美)

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