日銀がマイナス金利解除　住宅ローン、上昇の可能性も　総裁「普通の金融政策に」【やわらかゼミ】

　日銀がマイナス金利政策を解除したという記事を読んだ会社員の俊一さん。友人で地方銀行に勤める真さんに聞いた。

　俊一　マイナス金利って何だったの。
　真　金融機関は日銀や他の金融機関とお金をやりとりするため、日銀に預金口座を持っているんだ。２０１６年に預金の一部に年率マイナス０・１％の金利を適用した。
　俊一　利息は普通もらえるものだよね。お金を払うってことなの？
　真　そう。いわば「手数料」がかかるようなもの。だったら貸出金を増やして、少なくても金利収入が得られた方がいいよね。日銀はこうして世の中に出回るお金を増やして、金利を低い状態にしたんだ。
　俊一　解除ということは、もう手数料を取らないということ？
　真　そう。預金口座の金利を変えて、一部に０・１％を適用したよ。無理に金利を低くして貸さなくても、日銀に預ければ利息を得られる。だから世の中の金利は上がる方向になる。
　俊一　実際に金利は上がったの？
　真　金融市場に、金融機関が短期間、担保なしで資金を貸し借りする「無担保コール翌日物金利」という金利指標がある。日銀の預金口座の金利と連動して動く傾向があるんだ。マイナス圏で推移してきたけど、解除後はプラスに浮上したよ。
　俊一　政策金利という言葉もよく見た。
　真　預金口座のマイナス０・１％を政策金利と位置付けてきた。今後は短期の無担保コール翌日物金利を政策金利として誘導していくことに変えた。具体的な水準は０～０・１％程度としたよ。
　俊一　新しい取り組みなの？
　真　いや、無担保コール翌日物金利を誘導する手法は昔からやってきた。だから日銀の植田和男総裁は「普通の金融政策になる」と言ったんだ。物価と賃金が両方、上がっていくと見通せたから、政策を正常化しようとしているんだ。
　俊一　家を建てようか迷ってるんだけど。住宅ローン金利は上がるの？
　真　確かに、半年ごとに金利を見直す変動型は短期金利の動きに連動させる傾向がある。ただ、短期金利の上昇幅がわずかだったため、４月に適用する金利を据え置く大手銀行が多く、一部は引き下げた。各金融機関の戦略という面も大きい。
　俊一　先行きは。
　真　日銀は政策金利をゆっくりと上げていくことは視野に入れてるんだ。市場では夏から秋にかけて再び上げるという予想がある。変動型金利もゆっくりだけど、上がっていくと思った方がいいかもしれないね。