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遠州織物端材でリサイクル紙 柔らか質感、名刺やカードに 富士工業技術支援センター開発

 静岡県工業技術研究所富士工業技術支援センター(富士市)は、遠州織物の端材を利用したリサイクル紙を開発した。名刺やメッセージカードを試作、織物事業者から好評。民間で活用してもらえるようPRや改良を続ける。

遠州織物の端材を原料にしたリサイクル紙=富士市
遠州織物の端材を原料にしたリサイクル紙=富士市

 織物の製造過程で出る綿や麻の端材(繊維くず)を30%配合した。無色と、着色した繊維くずを混ぜた模様付きの2種類。繊維を含むためパルプだけで作る通常の紙よりも厚みがあり、柔らかな触り心地。繊維をけば立たせて絡みやすくし、課題だった強度不足を解消した。
 同センターによると、月に数百キロの端材を出す事業者もあり、産業廃棄物として処分されている。「サステナブル(持続可能な)ファッション」への関心が高まる中、端材の存在に着目し、織物事業者でつくる県西部の組合から供給を受けた。規格外の織物も活用した。
 通常の紙より製造コストが高く、需要を創出できるかが課題という。同センター製紙科の伊藤彰上席研究員(44)は「遠州織物が入っているという付加価値がある。織物や製紙事業者と情報共有して事業化の可能性を探りたい」と話す。
 (東部総局・矢嶋宏行)

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