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地域引力向上へ「質の観光を」 中部地域経営会議が静岡で総会

 静岡県中部地域の首長や経済団体、大学のトップが地域活性化に向けて意見を交わす中部地域経営会議(議長・大坪檀静岡産業大総合研究所特別教授)は23日、本年度総会と会合を静岡市内で開いた。2023年度の研究テーマ「地域引力を高める観光ブランドづくり」について、県立大経営情報学部の岩崎邦彦教授が報告し、県中部の地域資源を生かした「質の観光」の重要性を強調した。

地域活性化に向けて意見を交わした中部地域経営会議=23日午前、静岡市駿河区
地域活性化に向けて意見を交わした中部地域経営会議=23日午前、静岡市駿河区

 観光客を呼び込む地域のブランドは「売り手ではなく買い手の心の中にある」と述べ、選ばれる観光地には明確なイメージが必要と指摘した。海鮮やウナギなど他県の消費者が思い描く県中部の「食」との出会いが地域引力を向上させ、「リラックス」「出会い・交流」を含めた資源循環が観光の質と持続性を高めると説明。「キーワードは『伸ばす』ではなく『回す』」とし、リピーターと滞在時間の増加が地域経済を成長させると訴えた。
 新型コロナウイルス禍で混雑を避ける観光客が増えた現状にも触れ、今後の観光業は「量のマーケティング」から質への転換が重要と説いた。学び・教養、独自体験など県中部の潜在力を生かした分散型・小規模観光を推進するなど、「地域資源のかけ算が地域引力につながる」と語った。
 出席した各市町の首長からは、観光へのイメージ戦略の重要性を再認識する声が上がった。島田市の染谷絹代市長は逢来橋や茶畑、SLなどの観光資源を合わせた従来型観光PRを振り返り、「引き算をして何をとがらせ、我が町のシンボルにするかが重要」との意見を述べた。本年度の事業計画案なども承認し、「空き家・空き店舗の活用のための仕掛けづくり」を調査研究のテーマに設定した。

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