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スルガ銀行の損害賠償請求を棄却 創業家関連企業への融資 静岡地裁、寄付「合理的範囲」

 創業家の関連企業(ファミリー企業)に対する不適切な融資が損失を招いたとして、スルガ銀行が岡野光喜元会長ら7人を相手取り、総額26億4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁は25日、請求を棄却した。菊池絵理裁判長(異動のため平山馨裁判長代読)は、銀行側が「ファミリー企業への資金融通が真の目的」と指摘していた寄付について「合理的な範囲を超えない」と判断。寄付に関与した当時の経営陣の注意義務違反も認められないとして訴えを退けた。

スルガ銀行
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 被告は岡野元会長の他、元会長の実弟でもある故岡野喜之助元副社長の相続人や元取締役ら6人。スルガ銀行は2013~17年、岡野元会長が代表理事を務める美術館に、8回にわたり計47億6200万円を寄付した。銀行側は寄付の承認決議では重要事項の説明がなく、会社に損害が生じたと主張していた。
 菊池裁判長は判決理由で、寄付は企業の社会的責任(CSR)目的で行われたと指摘。地方銀行のスルガ銀行が県東部で文化的事業を支援することは「地域社会に対する貢献として社会的に要請される」とした。
 美術館への寄付の約8割は、ファミリー企業のうちスルガ銀行が直接貸し付けを行う「特定管理先」からの返済に充てられたが、CSR目的とは「矛盾しない」とした。
 スルガ銀行は「主張が認められず遺憾。今後の対応は判決内容を精査し、訴訟代理人とも協議、検討の上決定する」とのコメントを出した。判決が今期業績に与える影響はないとした。
 地裁は同日、共同訴訟参加を申し出ていた株主の請求の一部を「原告(スルガ銀行)の請求を超えるため不適法」として却下した。
 この訴訟とは別に、シェアハウス向けなど投資用不動産を巡る責任を追及するとしてスルガ銀行が岡野元会長ら11人に総額35億円の損害賠償を求めている訴訟は、静岡地裁で審理が続いている。

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