テーマ : 経済しずおか

ヤマハ発動機など15社で組合 半導体仕上げ「後工程」自動で 省力化28年までに導入

 ヤマハ発動機など15社は7日、半導体製造の「後工程」の完全自動化・標準化を目指す技術研究組合を設立したと発表した。人手不足の中、半導体や製造装置のメーカーなどが連携し、半導体を最終製品に仕上げる工程の省力・効率化につなげる。

研究組合に参加する主要な日本企業と主な役割
研究組合に参加する主要な日本企業と主な役割

 後工程ではシリコンウエハーから切り出したチップを基板などに固定して配線し、保護材で封入した上で最終検査を行う。人工知能(AI)の普及などで半導体の需要が高まる一方で、装置間の搬送など人手による作業もあり、労働力の確保が課題になっている。
 新設の半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS、サタス)にはヤマハ発のほか、米インテルやオムロンなどが参画した。メーカー間で異なる装置や技術の規格を標準化し、実証ラインでの検証を行う。開発した技術は2028年までに実用化し、工場への導入を目指す。
 ヤマハ発は後工程の製造装置を生産している。ロボティクス事業で培ったFA(工場自動化)技術を生かし、搬送の自動化も担うという。
 半導体を巡っては、米中貿易摩擦などによってサプライチェーン(供給網)が寸断され、自動車などさまざまな製品で減産を余儀なくされた。サタスは自動化・標準化の技術を確立することで地政学リスクの分散につなげ、供給・調達の安定化にも貢献していく。
 (磐田支局・八木敬介)
半導体製造の後工程 半導体の製造工程は主に、ウエハーと呼ばれる基板に電子回路を形成する「前工程」と、基板を細かいチップに切って樹脂のパッケージに収める「後工程」で構成される。前工程では、性能を高めるため回路線幅の微細化が進んでいる。一方で微細化の限界を指摘する声もあり、後工程で複数のチップを積み重ねて性能向上を目指すといった技術が注目されている。
 

いい茶0

経済しずおかの記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞