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ハチビキ 赤い姿の深海魚 脂乗り 身質も柔らか(静岡県水産・海洋技術研究所)【旬の魚・こぼれ話】

 「ハチビキ」という魚をご存じだろうか。本県や関東では「赤サバ」と呼ばれており、外見は鮮やかな赤色で、水深100~400メートルの深場に生息する深海魚。赤いのは外見だけではない。さばいてみると、その身は血合いが少し透き通ったような赤黒い色をしている。そのため、かつては身の色を理由に敬遠されがちで、価格は非常に安く、市場にはあまり出回らなかった。

南伊豆で水揚げされたハチビキ
南伊豆で水揚げされたハチビキ

 本県では伊豆半島周辺でムツやメダイに混ざって釣れるが、ハチビキだけを狙った漁は行われていないため漁獲量は少ない。身の色からは、血生臭そうな印象を受けるかもしれないが、一口食べれば印象はガラリと変わるだろう。赤黒い身はブリとマグロを掛け合わせたような身質で、クセも無くうまみがある。大きな魚体ほど脂の乗りが良く、皮と身の間に白い脂の層ができるほど。産卵前の冬から春にかけては、特に脂の乗りが良い。
 そのため、まずは刺し身で食べてほしい。特に、皮は剝がさずに、表面をあぶるのがお勧めである。また、加熱しても身が固くならないため、脂の乗った切り身は煮付けや焼き魚でもおいしい。みそやしょうゆに漬けて焼き魚にすれば、香ばしい皮目と脂の乗った柔らかい身が楽しめる。近年は市場での評価が高まっており、県東部のスーパーや鮮魚店では時折見かけるようになった。赤黒く見慣れない身の魚を見かけた際には、ぜひ食べてみてほしい。
 (静岡県水産・海洋技術研究所)

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