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静岡ホビーショー開幕 ステップアップ商材拡充 中級者意識、ファンつなぎ止め図る

 静岡市駿河区で8日開幕した静岡ホビーショーで、各社は中級者を意識した新製品を披露した。新型コロナウイルス下の巣ごもり需要で初心者モデラーが増えたが、社会経済活動の正常化に伴う外出機会の増加で模型離れが懸念される。このため各社は初心者向けよりも製作難易度が高めで上級者にも満足感を与えられる新製品を発信し、ファンのつなぎ止めを図る。

中級者をターゲットにした天満宮の木製模型=8日午前、静岡市駿河区
中級者をターゲットにした天満宮の木製模型=8日午前、静岡市駿河区

 ウッディジョー(同区)は、天満宮の木製模型を開発した。部品は約40種と初心者向けよりも多いが、指でつまめる大きさで、作りやすさを追求した。LED(発光ダイオード)ライトや金属パーツで建物の厳かな雰囲気の再現を心がけた。法隆寺五重塔(部品約30種、想定作業時間10時間)など初心者向けと、駿府城(約80種、200時間)など上級者向けの中間に位置付ける。
 2020年の売上高は、コロナ前の19年比で2倍以上に伸びたが、23年以降は19年並みに戻った。常木則男社長は「より上級の模型に挑戦する契機にしてほしい」と語る。
 ハセガワ(焼津市)は、アニメ「マクロスプラス」に登場するロボット「YF-19 バトロイド」のプラモを発表した。水転写デカールを付けるなど中級者向けだが部品は6色に着色済み。塗料と接着剤が不要で初心者にも寄り添う。同社は22年以降、マクロスシリーズで同様の商材開発に注力している。担当者は「部品の色が増えるほど設計は複雑になるが、ユーザーの裾野拡大に資する製品開発を続けていく」と語る。
 初心者モデラーからの高い支持を誇る商品群を中級者向けに昇華する動きもある。青島文化教材社(静岡市葵区)は、自動車プラモデルシリーズ「スナップキット」からのステップアップ商材として、新シリーズ「スナップカー」を展示している。
 部品数が少なく、塗料や接着剤が不要な従来品の特徴を継承しつつ、水転写デカールを付け、タイヤの向きを変えられる仕様で上級者への訴求力を備えた。担当者は「塗料・接着剤不要が、模型の主流になる日が来るかもしれない。今後も新市場を創出できる製品を送り出す」と意気込む。
 (経済部・駒木千尋)
プラモ市場 19年度比3割増  日本玩具協会によると、2022年度のプラモデルの市場規模は630億6900万円。近年拡大傾向で、新型コロナウイルス前の19年度比で32・3%増加した。経済産業省の生産動態統計調査では、22年のプラモデル販売数量は約604万ダースで、19年比25・8%伸長した。
 コロナ下で在宅時間が増えたことで、新規ユーザーが定着したほか、かつて模型づくりに熱中していた中高年世代が制作を再開したとみられている。
 静岡ホビーショーの会場を訪れた愛知県の模型問屋の担当者は「ファンの裾野が広がりつつある中、初級者や中級者向けの商材は専門店以外でも取り扱いやすい。各メーカーの開発力に期待している」と語った。

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