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農産物適正価格へ調査 農水省 費用転嫁で安定供給

 農林水産省は、農産物の適正価格の形成に向けて、コメや果実、野菜といった品目ごとにコスト構造の調査に乗り出す。生産から流通、小売りまで各段階での取引価格などを把握し、肥料価格や輸送費が農産物価格に与える影響を精査。上昇した費用を適切に価格転嫁できるようにするため、調査結果の活用を検討し、農家や農業に関わる事業者の利益を確保するほか、担い手不足の解消や食料の安定供給にもつなげる。

農産物のコスト構造調査
農産物のコスト構造調査


 調査対象はコメや小麦などの穀物、果実ではリンゴやミカン。野菜や飲用牛乳、鶏卵や食肉、茶、豆腐・納豆のほか、こんにゃくなども候補に挙がる。生産者段階では、種苗や肥料費などを調べる。出荷団体や小売業者などの輸送や保管にかかる費用、加工や製造業者の販売経費なども調査する。
 生産や小売りなどの関係者が参加する協議会に夏ごろをめどに結果を示し、コスト上昇分を価格に反映させるために生かせるかどうかを議論する方針。コメや野菜に比べて流通経路が単純な飲用牛乳と豆腐・納豆は既に議論を進めている。
 農水省は農業の生産基盤強化のため、農産物が適正な価格で取引される仕組みづくりを進めている。今国会に提出した食料・農業・農村基本法の改正案は「合理的な費用が考慮されるようにしなければならない」としており、農水省は適切な価格転嫁の仕組みを法制化する方針だ。
 これまでの協議会の議論などでは生産者側が「営農が継続できるかの危機的状況だ」と訴える一方、小売業者は価格競争の激しさを強調。消費者団体は値上げに理解を示す一方、コストが下がれば値下げする仕組みも必要と指摘し「消費者との信頼関係の構築につながる」とする。関係者が納得できる形での価格形成には時間がかかりそうだ。

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