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G20閉幕 米ドル高警戒 日銀総裁、円安注視意向

 【ワシントン共同】日米欧の先進国に新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日(日本時間19日)、米首都ワシントンで2日間の討議を終え閉幕した。新興国から米ドルの独歩高と自国通貨安を警戒する声が上がり、日銀の植田和男総裁は閉幕後の記者会見で円安を注視する考えを示した。為替相場の動向が世界経済のリスクに浮上した。
 新興国がドル高を懸念するのは、ドル建て債務の返済負担が増え、経済成長を支える投資資金が流出して金利が高い米国に向かう恐れがあるためだ。新興国の景気が落ち込めば、世界経済は無傷でいられない。植田氏は「米国の実体経済は引き続き強い」と話した。当面、米国の高金利を背景とするドル高は収まらず、世界経済も不安定な状況が続きそうだ。
 鈴木俊一財務相は会見で「米国の金利が高い中で、資金が流出する、あるいはドル建て債務が膨らむことに懸念を述べた国があった」と説明した。ウクライナ侵攻を続けるロシアを会議で非難したことも明らかにした。同席した植田氏は、円安で物価上昇に無視できない大きな影響が生じた場合、金利を引き上げるなどの「金融政策の変更もあり得る」と語った。
 日本国内には、過度の円安は輸入品の値上がりを通じて物価高を長引かせ、景気の足かせになるとの懸念がある。政府は円安を食い止めるための円買いドル売り介入も辞さない構えを見せる。
 G20議長国のブラジルのネト中央銀行総裁は閉幕後の会見で「ドル高は常に問題だ」と指摘した。一方で、米国の高金利という構造的な要因が背景にある通貨安に介入すれば「経済にゆがみが生じる」と述べ、政府や中央銀行が為替相場を動かそうとすることに否定的な考えを示した。
 共同声明は前回に続き見送った。声明を出さない場合、議長国が各国・地域の意見をまとめた「議長総括」を公表することが多いが、議長総括も出なかった。

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