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国内養蚕業再興、活性化へ 静岡の農業法人・鈴生 九州大発ベンチャーと連携

 農業法人の鈴生(静岡市葵区)と、九州大発ベンチャー企業のKAICO(カイコ、福岡市)は19日、養蚕業の連携事業に取り組むと発表した。鈴生が開発したスマート型施設でカイコを育て、カイコ社が研究する経口ワクチンや飼料添加物への活用を目指す。絹糸以外の利用方法を確立して、国内養蚕業の再興と地域活性化につなげる。

鈴生が開発するソーラーシェアリング型養蚕施設(同社提供)
鈴生が開発するソーラーシェアリング型養蚕施設(同社提供)

 養蚕施設は、太陽光発電と両立するソーラーシェアリングによる年間飼育が可能な小型モジュール型。カイコの餌のクワ生産が盛んな松崎町の協力農家で、2025年にも試験栽培を始め、将来的な全国展開を目指す。伊豆半島や西部地域を中心に、製糸業が主要産業だった本県から養蚕復興の第一歩を踏み出す。
 カイコ社はカイコのタンパク質に着眼。動物用飼料添加物から動物用経口ワクチン、人間用経口ワクチンへの活用を段階的に進める商業化戦略を描く。カイコは24年度に50万匹、28年度には1500万匹の需要を見込み、養蚕施設の普及拡大が安定供給につながると期待する。
 国内の養蚕業は生活様式の変化や価格競争で衰退の一途をたどっている。両社は「環境負荷が少なく低コストでカイコを育て、シルクの高付加価値タンパク質としての原料を量産し、社会課題解決型の事業創出を目指す」としている。

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